X線結晶構造解析に基づいたA-ファクターレセプターの構造と機能に関する研究
【研究分野】応用微生物学・応用生物化学
【研究キーワード】
A-ファクター / 放線菌 / 抗生物質生産 / 形態分化 / X線結晶構造 / A-ファクターレセプター / 微生物ホルモン
【研究成果の概要】
低分子化学調節物質A-ファクターは、Streptomyces griseusの抗生物質生産、形態分化を超微量で制御する微生物ホルモンである。レセプター蛋白を大腸菌で大量発現し、迅速な精製法を確立した。ハンギングドロップ法により取得したレセプターの結晶および重金属置換体の結晶ともに多型を生じており、いまだに結晶型の合致したデータを収集するのに至っていない。現在スプリングエイトによるセレン置換体のデータ収集を行っており、早々に3次元構造を解明したい。
A-ファクターレセプターによりその発現がスイッチ・オン、オフされる転写因子AdpAの標的として、本蛋白が結合するDNA断片を20種以上取得した。これらの断片を含む大きな断片のクローニング、塩基配列決定、転写のA-ファクター依存性を検討している。そのうちの1つは、環境変化を認識し、しかるべき遺伝子の転写を起こすRNAポリメラーゼのシグマ因子であり、かつ本シグマ因子は二次代謝に関係なく、形態分化にのみ関与していた。その他、A-ファクター制御カスケードの周辺を解明すべく研究を続けているが、以下のような成果を(1)二次代謝、形態分化に関与するセリン/スレオニンキナーゼAfsKとその標的AfsRにおいて、AfsKの自己リン酸化を蛋白-蛋白の相互作用によって調節するKbpA蛋白を同定した。(2)A-ファクターに制御される黄色色素合成遺伝子群のクローニングとその転写を司る特殊なシグマ因子を同定した。(3)A-ファクターによって制御されるメラニン生産に関わるRppAおよびP-450の同定とその酵素反応の解明を行った。今後、A-ファクター制御系の中枢をなすレセプターとA-ファクターの解離・結合のステップの分子レベルでの解明をし、かつその上流、下流の「役者」達を明らかにすることで、カスケード制御全貌に迫れると考える。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大西 康夫 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】30,500千円 (直接経費: 30,500千円)