酵母における脂質の取り込み、変換、排出に至る過程の分子機構の解明とその応用
【研究分野】応用微生物学・応用生物化学
【研究キーワード】
脂質 / 生物変換 / Saccharomyces cerevisiae / Yarronwia lipolytica / Candida maltosa / シトクロームP450alk / lipid flippase / 脂質輸送 / Candida Maltosa / Yarrowia lipolytica / cytochrome P450ALK / alkane assimilation / fatty acid ω-oxidation / phospholipid / peroxisome / phospholopids / Saccharormyces cerevisiae / cytochrom P450ALK
【研究成果の概要】
微生物(酵母)の長鎖アルカンや脂肪酸を利用する性質を利用して、有用な微生物生産系の育種を行うためには、微生物の脂質や疎水性化合物を代謝・変換するシステムを解明し、学ぶ必要がある。
本研究では、半数体アルカン資化酵母Yarrowia Hpolyticaと長鎖ジカルボン酸(DCA)生産酵母Candid maltosaを用いて長鎖アルカン利用系を解析した。また、脂質の輸送と代謝及び膜酵素系の構築の基礎的過程を、実験室酵母Saccharomyces cerevisiaeを用いて究明し、有効な脂質変換生産系の育種の指針を得ることを目的とした。本研究では以下のことを明らかにした。
1.Y. Upolyticaにおけるn-hexadecaneの取り込みを検討し、この取り込みが、エネルギー依存であること、誘導生であること、グリセロールの添加によって抑制されること、表層のアルカンのプールには依存しないことなどの証左を得た。また、C. maltosaにおいてはグリセロールでなくグルコースで抑制されることを除いて同様であった。
2.ABCトランスポーターをコードするCmCDRlを高コピー数のベクターに載せてC. maltosaの長鎖DCAの生産菌に導入した。高発現させた結果として長鎖DCA生産の改善が見られた。
3.y. lipolyticaのアルカン誘導性遺伝子ALKlのプロモーター中に、アルカン応答に必要な領域ARE1を見いだした。これに依存する、lacZ発現系を野生型Y. lipolyticaに組み込んだ。この改変酵母を変異誘発処理してARE1特異的に遺伝子発現ができない変異株を分離した。この変異株はアルカンで生育できず、オレイン酸では生育できた。変異相槌遺伝子YAS1の破壊株も同様な性質を示した。また、Yas1pは核に分布し、タグ付Yas1pに対する抗体を用いたCHIPアッセイにより、ALK1プロモーター領域に結合することが示された。Yas1pがARE1に結合する転写因子であると結論した。YaslpはS.cerevisiaeのIno4pに相同性のあるbHLH(basic helix loop helix)を有し、Ino4pはやはりbHLHであるIno2pと複合体を形成する。そこで、ゲノムデータベースを検索し、これらのbHLH領域と最も似た領域を持ち、Yas1pと複合体を形成するYas2pをコードするYAS2を同定した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
福田 良一 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2002 - 2004
【配分額】53,690千円 (直接経費: 41,300千円、間接経費: 12,390千円)