コリネ型細菌の分子生物学的解析と高度産業利用
【研究分野】応用微生物学・応用生物化学
【研究キーワード】
Corynebacterium glutamicum / ATP ase / NADH脱水素酵素 / アラニン / システイン / 細胞壁 / γ-グルタミルトランスペプチダーゼ / ATPase / γ-グルタミルトランスペプチターゼ / 呼吸鎖 / γ-グルタミルトランスフェラーゼ / Brevibacterium Oactofermentum
【研究成果の概要】
冨田(北海道大学):C.glutamicumのH^+-ATPaseのクローニングと塩基配列の決定を行い,形質転換により活性が約2.5倍に上昇した菌株を得た.本菌株は野生株と比べ顕著な培養特性の差は見られなかったが,最大生育量及びグルタミン酸生産はやや高く,グルタミン酸生産期においては高い糖消費活性.呼吸活性,膜電位.細胞内pHを示した.
松下(山口大学):コリネ型細菌の細胞膜小胞及び反転膜小胞を調製し,それらを用いた本菌呼吸鎖のエナジエティクス解析を行った.また.本菌呼吸鎖に特徴なNADPHオキシダーゼを精製し,それがNADH脱水素酵素IIであることを明らかにするとともに.その欠損株を作成する二とで,呼吸鎖における機能とニネルギー代謝におよぼす影響を解析した.
勝亦(東北大学):C. glutamicumのアラニンデヒドロゲナーゼ遺伝子のクローニングと塩基配列の決定を行い,コリネ型細菌内で本酵素遺伝子を発現するクローンを取得した.C. glutamicumのアラニン合成は,アラニン過剰合成能を付与するトランスアミナーゼ(TA)のみによって行われることが判明した.また本遺伝子の増幅株は4.5倍のアラニン増産能を獲得した.
永井(東京工業大学):コリネ型細菌のペプチドグリカン合成に関与する遺伝子としてmurI, murC, murE, ftsIを分離した.リゾチーム感受性変異株の解析より,細胞表層合成に関与すると思われる新規アミノ基転移酵素をコードするItsA遺伝子を単離した.ItsA遺伝子の欠損によりグルタミン酸生産が誘導された.
中森(福井県立大学):B. flavum(C. glutamicum)のシステインのシステイン代謝経路の解析を行い.本菌のCysteine dehysulfuhydrase(CD)を同定し,CD欠損株によるシステイン生産について検討した.また本菌のserine acetyltransferase遺伝子を同定し,遺伝子産物の特性の解析を行った.
熊谷(京都大学):コリネバクテリウムのγ-グルタミルトランスペプチダーゼ(GGT)について遺伝子の取得を試みたが成功しなかった.大腸菌GGTの活性中心の同定と自己プロセッシング機構を証明した.コリネ型細菌の一種ビフィドバクテリウムのα-ガラクトシダーゼの性質の解明,遺伝子のクローニングを行った.
【研究代表者】