文節境界を考慮した統計的言語モデルの高度化と音声認識への利用
【研究分野】知覚情報処理・知能ロボティクス
【研究キーワード】
言語モデル / 文節境界 / 音声認識 / 韻律的特徴 / Tri-gram / Filler / 自発発話音声 / 生成過程モデル / Perplexity / 言語コーパス / アクセント句境界 / 形態素解析
【研究成果の概要】
日本語の言語構造・発話構造を考慮した新しい統計的言語モデルを開発した上で、それを音声認識システムに組み込む有効な方策を開発することを目的として以下の成果を達成した。
1.文節境界をまたぐ場合とまたがない場合のtri-gramモデルを学習し、従来のtri-gramモデルと比較し、8%程度以上のperplexityの減少が可能なことを示した。さらに、連続音声認識用openソフトウエアJuliusの第2パスに作成したtri-gramモデルを実装し、JNAS音声コーパスの音声サンプルについて認識実験を行った。新聞記事1年分で学習した言語モデルを用いた場合、提案した言語モデルを用いることにより、従来と比較して8%程度の認識率の改善が得られた。新聞記事3年分で学習した言語モデルを用いた場合には、顕著な改善効果は得られなかった。この観点から、提案したモデルは特に十分な学習コーパスが得られないときに有効であることが推察される。
2.上記は朗読音声に対する成果である。これを自発発話音声に発展させるため、自発発話で多く見られるFillerが深い文節境界で生起する確率が高いことに着目し、Fillerを検出するための韻律モジュールを開発した。当該形態素の韻律的特徴等を入力パラメータとする4層パーセプトロンで韻律モジュールを構築し、74%程度のフィラー検出率を達成した。この韻律モジュールをJuliusに組み込むことにより、90%を超えるRecall率を達成した。今後は、これをもとにFillerを考慮した言語モデルを作成し、自由発話音声の認識に用いる手法の開発を進める。
3.観測される基本周波数パターンと生成過程モデルにより生成される基本周波数パターンとの差分を、文の言語情報、音素情報、指令パラメータから推定する手法を開発し、観測される基本周波数パターンとの誤差を5%程度低減できることを示した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
峯松 信明 | 東京大学 | 大学院・新領域創成科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2004 - 2005
【配分額】3,300千円 (直接経費: 3,300千円)