グローバルな環境変動の中の人間-サンゴ礁関係:メラネシアにおける文化人類学的研究
【研究キーワード】
自然 / メラネシア / サンゴ礁 / ソロモン諸島マライタ島 / 気候変動 / 環境変動
【研究成果の概要】
本研究は、南西太平洋のソロモン諸島マライタ島のサンゴ礁で独自の海上居住を営む「海の民」の事例に即して、「人新世」とも呼ばれる環境変動の時代における人間-環境関係を人類学的にとらえ直そうとするものである。本来の計画では、国内での理論的な研究とソロモン諸島での民族誌的フィールドワークを組み合わせ、「自然の人類学」の現代的なあり方を探究する予定であったが、新型コロナウイルス感染症の流行により研究計画は大幅な見直しを余儀なくされた。2021年8月にマライタ島で追加的なフィールドワークを行う予定であったが、ソロモン諸島政府による外国人の入国禁止が続いているため、これは実現しなかった。このため、2021年度は理論的・文献学的な研究に軸足を移し、いわゆる存在論的転回や科学技術社会論の成果を踏まえ、今日的な「自然の人類学」をいかに構想しうるかについての検討に取り組んだ。マライタ島における人間-サンゴ礁関係を中心的な主題とし、2021年度に執筆した著書の草稿については、出版社と打ち合わせを行いつつ、2022年度を通して改稿を進めた。同書が出版されるならば、本研究課題のもっともまとまった研究成果となるはずである。また、これまでの理論研究に基づき、学会誌『文化人類学研究』の特集「Writing (Against) Nature―『転回』以後の民族誌」を企画・編集し、世界各地でフィールドワークを行う人類学者たちと、現代の人類学において「自然」をいかに概念化し直すかについて討議・検討した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)