アルカリ性塩類耐性極強野生植物において耐性機構に関連する遺伝子の同定
【研究分野】育種学
【研究キーワード】
アルカリ性土壌 / 耐塩性機構 / マイクロアレイ / 耐性植物 / ストレス耐性 / トランスポーター / アンチポーター / ナトリウム
【研究成果の概要】
前年度の研究の結果、中国東北部のアルカリ塩類集積土壌に野生するPuccinellia tenuifloraおよびChloris virgataにおける高度の耐塩性機構に関与する事が予想された遺伝子について詳細な解析を行った.特に、Na+/H+アンチポーター(NHA、 NHX)、カリウムトランスポーター(HKT)、細胞膜PMP3タンパク質(PMP3)、DREBタンパク質およびカリウムチャンネルの遺伝子(cDNA)の全長を単離し、解析した.最初にそれぞれの遺伝子の環境ストレスに対する発現応答について調べた.多くの遺伝子は環境ストレス処理に応答して発現が変化する事から、ストレスに対する植物の応答に関与する事が考えられた.次にそれらの遺伝子を酵母発現用のベクターに組み込みこんだプラスミドを構築し、酵母(Saccharomyces cerevisiae)に導入した.その結果、酵母でそれらの遺伝子を高発現させる事により、酵母のストレス耐性(塩、高浸透圧等)が向上する事が明らかになった.そこで、それらの遺伝子をpBI121ベクターのCaMV35Sプロモーターの下流に挿入した植物形質転換用プラスミドを構築し、アグロバクテリウムを介してシロイヌナズナ(系統:Columbia)に導入した.その結果、ほとんどの形質転換シロイヌナズナの耐塩性、高浸透圧耐性、活性酸素発生薬品耐性、低温耐性、乾燥耐性が向上する事が確認できた.またNHAとNHXについてはpActNOSベクターのイネアクチンプロモーターの下流に遺伝子を挿入したプラスミドを構築し、イネ(品種:日本晴)に導入した.形質転換イネの耐塩性について現在解析を進めている.
【研究代表者】
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)