連続プレスによる圧縮木材製造装置の開発
【研究分野】林産学
【研究キーワード】
木材 / 横圧縮変形 / 塑性変形 / ロールプレス / ワニ口破壊 / 表面割れ / 強度的性質 / 液体注入 / 破壊 / 圧入角 / ワニロ破壊 / 縦割れ / 幅反り / 圧縮 / 高周波加熱 / 水蒸気前処理 / 変形固定 / 圧力 / トルク
【研究成果の概要】
(1)木材の横圧縮変形に関する基礎データを基に、木材加工用ロールプレス装置を試作した。本装置は、直径が200〜400mm、幅が300mmの一対の金属ロールにより構成され、駆動には4.4kWのサーボモータを使用し、最大圧延荷重400kN、最大圧延トルク5000kNmを発生する。ロールギャップは0〜150mm、ロール回転数は0.01〜15rpmの範囲で可変できる。ロールには14.4kWのヒータが装着されており、室温〜220℃の範囲で調整される。左右軸箱下に100〜5000kgfのロードセルがそれぞれ装備されており、圧延荷重が常時計測可能である。
(2)ロール圧縮によって、木材に発生する特徴的な不都合(破壊)は、A.わに口破壊、B.縦割れ、C.表面割れ、D.幅反り、E.縦反り、F.加工材内部の層はく離などであり、これらが加工材の強度低下に寄与していた。それぞれについて、圧縮率、ロール径、ロール送り速度などの変形条件、および、試験片寸法、被加工材含水率などの材料条件と加工材の強度的性質の関係を調べ、それぞれの関係を考察した。
(3)材料厚さ(T)、圧縮率(T-H)/T、ロール径(φ)を用いて計算される圧入角θ(cosθ=1-(T-H)/φ)と、θから計算されるロール接触時の加工材表面のひずみ(ε=πθ/180sinθ-1)は、わに口破壊や表面割れの発生と密接な関係にあり、スギ材の場合、気乾材では圧入角θ=8°、飽水材では9.5°以上になると、曲げ性能が著しく低下した。
(4)ロールプレス法の木材加工への応用例として、液体注入試験を行った。水分を大量に含む生材を、予備乾燥することなく、薬剤水溶液中で連続ロール圧縮することによって、内腔中の自由水を薬剤水溶液と置換することができた。これによって、木材中に各種薬剤を連続的かつ効率的に注入することが可能となった。
【研究代表者】