天然繊維からのナノ・ブレンド超薄膜の構造と物性
【研究分野】林産学
【研究キーワード】
天然繊維 / ナノ・フィブリル / セルロース / キトサン / コラーゲン / 超薄膜 / 生分解性膜 / ナノ・ブレンド / 生分解性
【研究成果の概要】
該当研究年度において、所期の研究目的を達成し、以下の成果を得た。
1.天然有機繊維の中から、セルロース系、キトサン系およびコラーゲン系繊維3種を選び、水を媒体とする機械的な解繊法により、それぞれの試料から、直径がナノ単位のフィブリル(ナノ・フィブリル、以下NFと略記)を得るための最適な条件を確立した。
それらの形態を観察した結果、それぞれ直径数nmから数10nmのNFが得られた.
2.1.項で得られたNFの水けんだく液を、単独またはブレンドした水けんだく液を用いて超薄膜の成膜を試みた結果、膜厚数10nm〜数100nmの超薄膜が得られた。さらに、超薄膜の表面構造を解析した結果、膜を構成する個々のNFは、膜中では強固に水素結合していることが分かった。
3.得られた薄膜の物性について、その引張り強さを測定し、同膜の力学的強さを検討した結果、ブレンドNFから得られた薄膜は、市販の中質紙(コピー用紙)の約1.5倍強の、低密度ポリエチレンの約2.0倍強の引っ張り強さを有すことが分かった。
4.得られたキトサンのNFのけんだく液から、および供試試料を酢酸に溶解した溶液を用いたキャスト法から、それぞれ得られた超薄膜を、X線回折法による解析と走査電子顕微鏡による観察により、NFの水けんだく液から得られる超薄膜では、膜を構成する個々のNFは、その分子の長軸方向を、膜表面に平行な面に配列しており、その赤外反射スペクトルの測定により、個々の分子に付属する官能基が、分子の表面に存在することが示唆された。
4.これらの成果は、広く国内・外に発表すべく、第51回高分子学会年次大会(横浜、2002年5月)およびUPAC World Polymer Conference (Beijing, China、2002月7月)に発表した。また第52回高分子学会年次大会(名古屋、2003年5月)で発表する。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岩田 忠久 | 独立行政法人理化学研究所 | 高分子研究室 | 副主任研究員 | (Kakenデータベース) |
岡村 圭造 | 京都学園大学 | 経済学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2001 - 2002
【配分額】7,200千円 (直接経費: 7,200千円)