地球環境資源としての地表植生の広域測定とその機能評価システムの開発
【研究分野】林学
【研究キーワード】
地球規模の環境資源 / 広域的森林計測 / レーザー測距 / フーリエ解析 / 植生縦断面 / 森林バイオマス / 森林葉面積 / 平均自由視程 / 地球環境資源 / バイオマス / 葉面積 / 赤外線レーザー測距儀 / 森林現存量 / 森林機能量 / 大気環境 / 御嶽山 / プラントキャノピ-アナライザー
【研究成果の概要】
航空機に搭載した赤外線レーザー測距儀で計測した地表植生のプロフィールから、広域にわたる森林の蓄積や葉面積を推定する方法を開発し、こうして得られた情報を既存の森林情報とともに地図・帳票形式で一元管理するラスター型GIS"Real Forester"を構築した。
本研究の材料をなす植生プロフィールは御嶽山で計測したほか、別途、愛媛大学演習林とカナダ亜寒帯林のものを入手して利用した。またこれら航空測定の結果を現実と対比するために地上でも森林蓄積や葉面積を測定した。植生プロフィールの解析法としては、(1)スペクトル解析、(2)平均自由視程、(3)縦断積分、の三通りの方法を開発した。(1)は植生プロフィールにフーリエ解析を施してパワースペクトルを得たうえ、その極大値に対応した波長として平均樹冠直径を求め、これをもとに単木材積や立木密度を経由して森林蓄積を推定する方法である。(2)は、樹冠層におけるレーザー光の平均進入深度から葉の分布密度を求めたうえ、これに単葉の平均面積を乗じて森林葉面積を推定する方法である。(3)は、植生プロフィールの縦断面積が、当該林分の平均樹高と立木密度も積に比例することを利用して、森林蓄積を得るという方法である。これらの解析法の開発には、数センチの間隔で高密度な植生プロフィールが得られている御嶽山と愛大演習林のデータを用い、実際の広域的な森林特性の推定は、測定間隔は粗いが延長600kmにわたりプロフィールが得られているカナダの亜寒帯林について行った。その結果、航空機レーザー距離が、GCMの境界条件として有用な森林葉面積や、地球温暖化による植生変化を検知するための対照データとして重要な森林蓄積など、地球規模の環境資源としての森林の諸特性を短時間で広域的に求めうる有効な手段であることが明らかになった。
【研究代表者】