気候変化が林木寄生性昆虫の食物条件と個体群動態に及ぼす影響
【研究分野】林学
【研究キーワード】
温暖化 / 酸性雨 / モミジニタイケアブラムシ / 個体群動態 / 生物季節 / マツカレハ / 葉量 / アブラムシ / 個体群動 / 開芽 / カエデ類 / 寒冷 / 孵化 / 窒素含有率 / 土壌含水率 / フェノロジー / 気温 / 降水量 / 花序 / 食物
【研究成果の概要】
本研究は人間活動に伴う気候変化が林木寄生性昆虫の食物条件と個体群動態に及ぼす影響について研究を行った。取り上げた気候変化は二つある。一つは温暖化であり、もう一つは酸性雨である。
温暖化に関しては、アブラムシ科アブラムシ科の昆虫であるモミジニタイケアブラムシ個体群の動態に関する研究を基盤に、気候変化がカエデの生物季節の変化を通して吸汁性昆虫であるアブラムシの食物条件と個体群動態に及ぼす影響について研究を行った。また、酸性雨に関してはカレハガ科の昆虫であるマツカレハをとり上げ、マツカレハによる針葉の摂食が樹木と成長と葉量にどのように影響するか、そこに酸性雨はどのように関わるかという観点で実験的研究を行った。
樹木のフェノロジーとアブラムシの発育の関係をまず明らかにした。その結果、アブラムシの生活史はカエデの生物季節と密接に関係しており、個体群動態の解析にあたってはカエデの生物季節がきわめて重要なものとなっていることが判明した。
モミジニタイケアブラムシの個体群動態の解析にあたってはカエデの生物季節がきわめて重要であることが明らかになったため、カエデの春の開芽時期がどのような要因によって決定されているかを明らかにすることが重要である。気温の上昇はカエデにとってきわめて危険な事態が生じる可能性があり、またそれが昆虫類の生活に危機的な事態になる可能性があることが明らかになった。
実験的な手法による研究についてはマツカレハによる摂食は葉量の低下をもたらすが、酸性雨が与える影響に関しては予測とは異なり、酸性水の給水によって葉量の増加がみられた。こうした影響の大きさは土壌条件によって異なるなど興味ある結果が得られた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
久保田 耕平 | 東京大学 | 大学院・農学生命科学研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1997 - 2000
【配分額】20,300千円 (直接経費: 20,300千円)