確率論の総合的研究
【研究分野】数学一般(含確率論・統計数学)
【研究キーワード】
確率論 / 確率解析 / マルコフ過程 / エルゴード理論 / 無限粒子系 / 流体力学極限 / 数理物理 / 数理生物 / 大偏差原理 / フラクタル / 多様体 / ウィーナー空間
【研究成果の概要】
平成5年度からの2年間にわたり、「確率論の総合的研究」をテーマに確率論およびその関連領域における諸問題に取組み、研究分担者および日本数学会確率論部門の多くの研究者の協力を得て共同研究を遂行した。まず近代確率論研究の基礎である確率解析の理論の深化を目指した2つのシンポジューム「Wiener空間上の解析学」、「確率解析」を組織した。ここでは伊藤清、福島正俊により創始された「確率解析」「Dirichlet空間の理論」の新しい展開をめざす先駆的な研究成果が数多く生み出した。また解析学・幾何学に関連する話題を中心とした「マルコフ過程に関連した解析学」「多様体上の確率解析および大偏差原理」と題するシンポジュームを解析学・幾何学の研究者を招いて開催し、そこでの討論をもとに新しい方向の研究が生まれた。物理学・生物学などの自然科学への確率解析の応用をめざして、「数理物理、数理生物における確率解析」「フラクタルとその周辺」「無限粒子系、流体力学極限とその周辺」と題するシンポジュームを開催し、物理学や生物学の研究者との研究交流で新しい諸問題を発掘した。さらに、制御理論を中心とする工学、最近注目されつつあるファイナンス理論などの数理経済学、さらには社会学への数理的アプローチにも確率解析の手法が有効であり、それらに関する諸問題を議論するためのシンポジュームとして「確率論と中心とした数理モデルの理論と実際」「確率解析の応用」を開催した。そのほかにも確率論全般にわたる最新の結果を発表・討論する場として「サマースクール」「Gauss過程,安定過程とその応用」「確率過程とその周辺」「エルゴード理論とその周辺」などの研究集会を開催し多大の成果をあげた。その成果についての詳細は研究成果報告書として出版した。
【研究代表者】