神経シナプスの発達・老化に関する研究
【研究分野】神経化学・神経薬理学
【研究キーワード】
樹状突起棘 / 細胞骨格 / ドレブリン / アクチン / 発達 / 老化 / シナプス成熟 / 神経発達 / 神経培養 / 神経細胞 / 樹状突起 / スパイン / シナプス / グルタミン酸受容体 / 海馬 / アクチンフィラメント / 遺伝子導入
【研究成果の概要】
(A)スパイン細胞骨格蛋白群の解析
ドレブリン特異抗体を固定化したビーズを用いて樹状突起スパインの細胞骨格蛋白群を調整すると、ドレブリンの他、アクチン、3種のミオシンとゲルゾリンがその中に含まれるていたが、さらに多くの未同定蛋白が含まれていることが蛋白電気泳動法により確認された。そこでこの標本を免疫源としてモノクローナル抗体を作製したところ、脳に特異的なミオシン用蛋白を認識する抗体(文献13)、神経細胞が分泌する細胞外基質を特異的に認識する抗体、カルモデュリンカイネースを認識する抗体がとれた(口頭発表11、13)。
(B)発達・老化に伴うスパイン細胞骨格系の変化
発達過程のラット大脳におけるドレブリンのアイソフォーム変換と樹状突起スパインヘの局在化を、経時的に調べた。(1)発達初期ではドレブリンは細胞体膜直下及び突起に連続性に分布しているが、発生が進むに従い、ドレブリンはクラスタリングすることがわかった。(2)次に、発達過程のラット大脳におけるドレブリンのアイソフォーム変換についてウェスタンブロッティングにより調べた。その結果、ドレブリンAの発現増加はドレブリンのクラスタリング時期と一致する事がわかった。(3)ドレブリンのクラスタリングはNMDA受容体活性に依存性であることがわかった(口頭発表4,7)。(4)また、このドレブリンAの発現増加に並行して、アクチン非結合型のドレブリンが激減することが観察された(口頭発表22)。従って、ドレブリンの樹状突起スパインヘの局在化は、RNAプロセッシングの変化により、ドレブリンのアイソフォームが成熟型となり、アクチンに対する結合活性が変化することにより引き起こされると推定された。(5)GFP融合ドレブリンを初代培養神経細胞に発現させたところ、スパインの長さが長くなることを発見した(文献9)。
【研究代表者】