シングルセル・ゲノミクスによる難培養微生物の機能解明と遺伝子資源化
【研究分野】ゲノム生物学
【研究キーワード】
細菌叢ゲノム / 共生 / 難培養 / バイオマス / メタゲノム / シングルセル / シロアリ
【研究成果の概要】
シングルセル・ゲノミクスとは、1細胞のみを用いて、ある生物種のゲノムを解読する研究分野あるいは手法である。ゲノムとは全遺伝情報、すなわち設計図であり、その生物種を用いた基礎・応用研究上、最も重要なデータの一つである。
細菌ゲノムの解読には10億個以上の同一系統の細胞が必要だが、培養すれば容易に集められる。ゲノムDNAの配列解析に要するコストも年々低下しており、これまでに、細菌を中心に1400以上の生物種・系統のゲノムDNA配列が決定されている。
ところが、大多数の微生物種は、実は培養法が不明である。これらはゲノム解読が不可能なのはもちろん、従来の微生物学的研究手法が適用できないので、生理・生態なども未知のままである。微生物は生態系の基盤を形成するだけではなく、人類にとっては不可欠の生物資源でもある。しかし培養不能なために、生態系には大きなブラックボックスが残り、人類が利用可能な生物資源も、ごくわずかにすぎないのである。
そこで本研究課題では、培養を介さずに、1細胞のみでゲノム解読を可能とする手法の確立に取り組んでいる。H22年度においては、まず1細胞を環境中から単離する方法の最適化を行ってきた。いくつかの細胞単離法を試し、また購入予定装置の選定を進めてきた。クリーンルーム、マイクロマニピュレーションシステム、結果を評価するためのリアルタイムPCR装置などの購入・設置を行い、次年度以降(最先端・次世代研究開発支援プログラムで継続)の本格的な研究への準備を完了することができた。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2010 - 2012
【配分額】33,930千円 (直接経費: 26,100千円、間接経費: 7,830千円)