小脳長期抑制におけるシナプス入力特性とその情報受容制御機構
【研究分野】神経科学一般
【研究キーワード】
プルキン工細胞 / 長期抑圧 / AMPA型受容体 / シングルチャンネル / ノイズ解析 / 赤外線顕微鏡 / AMPARチャンネル / シミュレーション / シナプス可塑性 / プルキンエ細胞 / AMPA型受容体チャンネル / 非定常ノイズ解析 / パッチクランプ法
【研究成果の概要】
運動学習の素過程と考えられている小脳プルキンエ細胞における長期抑圧(LTD)の現象をパッチ・クランプの手法とコンピュータ・シミュレーション等の解析方法を組み合わせて研究した。特に作業仮説として、長期抑圧に伴うシナプス伝達を担う興奮性シナプス後電流(EPSC)の大きさの減少をシナプス後膜にあるAMPA型グルタミン酸受容体の性質の変化によるとの観点から調べ、幾つかの結論が得られた。特に、実験方法と解析法に最先端のシングルチャンネル電流記録及び非定常ノイズ解析を使った。これらより得られた結論として、(1)LTDに対するAMPA型受容体チャンネルのカイネティクス変化の寄与は、小さい。(2)LTDが起こっている時の、AMPA型グルタメイト受容体チャンネルのシングルチャンネルコンダクタンスの減少は、観測されなかった。(3)計算機の結果によると、LTDは、神経伝達物質の受容体に対するアフィィニティの減少によることと、受容体チャンネルの開確率が減少した結果に起こると予想された。(4)興奮性シナプス後電流のピークで活性化されている受容体チャンネル数が減少した結果、平行繊維とプルキンエ細胞間のシナプス伝達の長期抑圧が起こったと考えられる。以上の結果は、今回の研究によりはじめて得られたもので、意義が深い。更に、この研究を行うにあたって、安定に記録を行う為に、スライス標本の深い場所にある神経細胞を同定する目的で、赤外線微分干渉型顕微鏡の開発をおこなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
柳原 大 | 理化学研究所 | 記憶学習機構研究チーム | 研究員 | (Kakenデータベース) |
古屋 茂樹 | 理化学研究所 | 糖細胞情報研究チーム | 研究員 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1996 - 1997
【配分額】2,500千円 (直接経費: 2,500千円)