筋萎縮性側索硬化症:前角細胞リボゾームRNA遺伝子転写活性の減少と細胞変性
【研究分野】神経解剖学・神経病理学
【研究キーワード】
筋萎縮性側索硬化症 / ALS / 脊髄 / 前角細胞 / リボゾーム / 粗面小胞体 / 蛋白合成 / 蛋白折り畳み / RNA / 転写活性
【研究成果の概要】
本研究において、リボゾーム(r)RNA遺伝子の転写活性の減少は運動ニューロン障害の極めて早期に生じる変化であり、それは細胞内リボゾームRNAを減少させることによって細胞の変性と死に密接に関連していることを明らかにした。また運動ニューロンの変性時には、分子シャペロンの細胞内の局在が早い段階で変化することも示し、粗面小胞体の変化と、それに付着したリボゾームが減少していることも示した。これらは運動ニューロン内の蛋白合成系のステップであり、ALSでは合成系の最上流と考えられるから下流域まで、変性が生じていることを明らかにした。ただ本研究では、これらの変化が、最上流と考えられるrRNA遺伝子転写活性の減少から玉突き式に生じた一連の変化であるのか、個々の流域でそれぞれ別個な原因による変化が生じて、それらがたまたま一列に並んだのか、という区別は出来なかった。今後は、このことを明らかにする必要がある。
【研究代表者】