シナプス伝達におけるグルタミン酸充填量制御メカニズムの構造生物学的解明とその応用
【研究分野】生物系薬学
【研究キーワード】
生化学 / トランスポーター / グルタミン酸 / ATP / シナプス小胞 / 塩素イオン / ケトン体 / 化学伝達
【研究成果の概要】
"【1】Cl-とケトン体結合部位の同定:VGLUTについて、次の2つを実施した。(1)3D構造上、Arg184の近傍に位置する10箇所のアミノ酸残基のアラニン置換体と、ループ領域内の10箇所のアラニン置換体を調製した。これまでに、グルタミン酸輸送におけるCl-とケトン体・グリオキシル酸による影響を半数のVGLUT変異体で測定した。(2)調製した高純度VGLUT2タンパク質とHPLCならびに質量分析計を用い、Cl-並びにケトン体・グリオキシル酸でブロックされるDIDSの結合部位を化学修飾法により決定することを試みている。本年度は昨年のこっていた残り10種類の変異体の解析を終了した。さらに高純度VGLUT2を調整し、HPLCと質量分析機を用いてDIDS結合部位を複数決定した。その内の二種類がCl-ならびにアセト酢酸およびグリオキシル酸でブロックされた。
【2】アロステリック効果による構造変化とモノマー/オリゴマー変換の実証N末端領域に蛍光性タンパク質AmCyanあるいはEYFPを融合したβ-EYFP-VGLUT-αまたはβ-AmCyan-VGLUTαを調製し、モノ・オリゴマー変換をFRETにより測定した。ケトン体とCl-によりVGLUT2のテトラマーならびにモノマー変換がおこることを実証した。さらにVNUT (vesicular nucleotide transporter, VNUT)でも同様の蛍光性精製タンパク質を調製し、テトラマーならびにモノマー変換がおこらないことを見いだした。実際におこらないのか起こっているがdetection limit以内なのかという対照実験を遂行中である。
【3】 細菌のVGLUTホモログの3.5オングストロームで結晶構造を解いた。さらにラットVGLUT2の結晶を調製できた。
【4】VNUTの特異的かつ可逆的かつ最強の阻害剤を開発した。輸送活性阻害と量子放出効果がパラレルであることを証明した。"
【研究代表者】
【研究分担者】 |
宮地 弘幸 | 岡山大学 | 医歯薬学総合研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
井上 剛 | 岡山大学 | 医歯薬学総合研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】2013-04-01 - 2016-03-31
【配分額】44,200千円 (直接経費: 34,000千円、間接経費: 10,200千円)