高分子-細胞膜間の運動性が低下した水和水量を指標とする癌細胞標的化技術の確立
【研究キーワード】
細胞標的化 / 細胞材料間相互作用 / 非特異的相互作用 / 水素結合 / 非水溶性高分子 / コアセルベート液滴 / 細胞-材料間相互作用 / 細胞膜 / 糖鎖 / ターゲティング
【研究成果の概要】
本研究では、タンパク質間相互作用が生じ得るタンパク質の表面には運動性の低下した水分子が多量に水和していることに着目し、高分子材料および細胞膜間の水和水量を指標とした細胞標的化技術の確立を目的とした。運動性が低下した水和水はタンパク質間接触が生じる初期段階において、水素結合網を形成することで自由エネルギーを安定化し、タンパク質間相互作用の形成を促進することが示唆されている。そこで申請者は、タンパク質間相互作用で見られる水和水の運動性による相互作用力を、材料-細胞膜表面間の相互作用に適応できないかと考えた。細胞膜の構成成分は細胞種によって異なることから、細胞膜表面上の水和水もまた異なると予想し、高分子材料側の運動性が低下した水和水量を適切に調整することで特定の細胞に対して高い相互作用力が誘起されると期待した。このような研究概念を立証するために本年度は、1. 高分子材料および細胞膜の水和水の評価、2. 水分子に着目した癌細胞と高分子材料間の相互作用力の評価を実施した。また、高分子材料のコアセルベート様の微粒子を作製することに成功し、高分子材料の水和水量を精密に反映した微粒子として評価に用いた。水和水量の異なる高分子からなるコアセルベート微粒子を作製し、複数の細胞種に対して添加した。その結果、コアセルベート液滴は水和水量に依存して、細胞に対する集積性が変化することを見出した。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)