生体内環境を生体外に作る技術を援用した血圧情報獲得システムの開発
【研究分野】機械力学・制御
【研究キーワード】
流体関連振動 / コラプシブルチューブ / 血圧計 / 生体計測 / 血圧測定 / データ処理 / シミュレーション / ウェーブレット変換
【研究成果の概要】
本研究の目的は、医療機関での血圧測定法の原理である、人体内で発生している血圧測定時に発生するコロコトフサウンド現象を人体外で力学的に再現可能なシステムを構築し、そのシステムに様々なパラメータ変動や外乱を加え、測定結果のばらつきの原因を明確にすることの可能なシステムを作り上げることと、最近、家庭で一般に用いられている血圧計の原理であるオシロメトリック法の測定精度の検討を行うことにある。そのために、スターリングレジスタと呼ばれるチャンバー内に、つぶれやすい管(コラプシブルチューブ)を設置し、流体を流した時に発生する管壁の振動挙動と管の内外の圧力変動、定常圧力成分を計測した。また、人体内で発生している血圧測定時に忠実に再現できるシステムを構築し、最適な計測方法を提案するために、拍動成分を忠実に重畳することのできるドライビングコンポーネントを付加すると供に、管に作用する外圧(カフ圧)も一定ではなく、外圧を時間的に可変にできる仕組みを付加させ、さらに、短時間計測に適した方法としてウェーブレット変換等の信号処理法を導入し計測結果の整理を行った。
研究の結果、薄肉シリコンチューブおよびゴアテックス社の人工血管を模擬血管として使用した実験では、内圧、カフ圧を変化させてデータを取得することに成功し、同時に、これらの材料特性を求めた後、モデル化に基づいたシミュレーションを行なうことに成功した。シミュレーションの結果から、材料のヒステリシス特性が測定精度に大きく関わっていることが判明した。また、オシロメトリック法での計測に焦点を置いて研究した結果からは、減圧速度、平均流量、脈動の周期および振幅がオシロメトリック法によって測定された最高最低血圧に与える影響はほとんどないことが明らかになった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
山根 隆志 | 人間福祉工学研究部門 | 副部門長(研究職/">(Kakenデータベース) |
渡邉 辰郎 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2000 - 2002
【配分額】12,500千円 (直接経費: 12,500千円)