異常化タンパク質の検出、回収、および再生を指向したナノ界面設計
【研究分野】医用生体工学・生体材料学
【研究キーワード】
ポリL-リジン / ポリエチレングリコール / βシート構造 / ナノ粒子 / ナノキャリア / ナノバイオマテリアル / β構造 / phosphatidylserine / リポソーム / phosphatidic acid / poly-L-lysine / βシート / コレステロール / 膜流動性 / 非特異的吸着 / コンゴーレッド / αヘリックス / βラクトグロブリン / 免疫グロブリンG
【研究成果の概要】
骨格分子にはpHや温度によって二次構造転移するポリL-リジン(PLL)を選択し、これにポリエチレングリコール(PEG)を結合させたナノ構造体(PLL-g-mPEG)を作製した。さらに、このポリマーにリン脂質ホスファチジン酸(PA)を結合させることによってもナノ構造体の作製を行った(PLL-g-mPEG/PA)。これらの構造体はpHや温度を変化させることにより、骨格PLLの二次構造が変化して膨潤・収縮および集合化・崩壊の挙動を示した。特に高温、高pHにするとβシート構造となり、集合化して不定形の凝集塊を形成した。PLL-g-mPEGの場合はβシート構造への変化に伴って粒子状になった。この状態でPLLのε-アミノ基を架橋することにより二次構造が凍結されたPLL-g-mPEGナノ粒子(平均粒子径10〜80nm)を得ることができた。また、PLL-g-mPEG/PAはPA部分の疎水性相互作用によりナノ粒子となった。これらナノ粒子にクロロホルムに溶解した蛍光物質を添加し、その後クロロホルムを除去することにより粒子内に蛍光物質を担持させることができた。このナノ粒子は蛍光物質を徐放し、DDSキャリアとしての応用できることがわかった。またpHが高くなると放出が速くなることもわかった。薬物の電荷に関係なく、疎水性物質一般に適用できるナノキャリアとして期待できる。次にPLL(Mw:30000〜70000)の凝集に対するPLL-g-mPEGの添加効果について検討を行った。PLLは65℃に昇温後、室温にするとβシート構造を形成して目視で確認可能な凝集塊となる。ここにPLL-g-mPEGを共存させると溶液は透明のままであり、凝集が阻止されることがわかった。このことよりPLL-g-mPEGのようなポリマーはタンパク質の異常化を阻止するナノバイオマテリアルとして期待できることがわかった。
【研究代表者】
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2002 - 2004
【配分額】11,100千円 (直接経費: 11,100千円)