バネ分子コネクチンによる心臓メカニクス制御機構解明と心不全治療への展開
【研究分野】生体医工学・生体材料学
【研究キーワード】
拡張機能 / 心不全 / コネクチン / 光ピンセット / X線位相差CT / 心室拡張機能 / タイチン / 心臓メカニクス / 心室拡張能 / 拡張障害性心不全 / 冠循環 / 拡張機能障害 / 心臓拡張機能 / コネクチン(タイチン) / 心機能 / 酸素環境 / 心筋カルシウム動態
【研究成果の概要】
横紋筋(心筋・骨格筋)において機能するバネ分子コネクチン(タイチン)はその大きさ故にその力学的な評価法の開発や他の細胞内機能解明が困難であった。本研究では、バキュロウイルスを用いた巨大分子(Novex-3, 650kD)の培養心筋細胞への発現に成功し、コネクチン分子の力学特性評価のための光ピンセットによる張力測定系を確立した。また、心臓レベルの評価法としてX線位相差CTによる非固定心臓標本の圧力と形態情報を統合した評価法についても検討し、既存の研究手法では得られない生体情報を取得出来た。個体レベルの評価としてはモノクロタリン投与モデルを用いてコネクチン発現の病期による変化を明らかにした。
【研究の社会的意義】
心臓は収縮と拡張を繰り返す血液ポンプであり、収縮が障害される心不全の病態解明や治療法開発は急速に進んできた。一方、近年になり拡張障害性心不全の重要性が認識されてきたが、その病態には不明な点も多い。心臓の拡張機能を規定するバネ分子:コネクチンは生体内最大の分子であり、その機能評価のためには分子生物学的手法から生体医工学的な手法まで学際的に取り組む必要がある。本研究ではコネクチンを軸とした心臓機能制御システムの解明に取り組み、培養細胞への巨大分子発現や分子張力測定システムの構築、X線位相差CTによる非固定組織の可視化法開発に成功し、既存の方法論では得られなかった生体情報を取得することが出来た。
【研究代表者】