アビジン・ビオチン反応を利用した階層構造を持つ三次元組織ユニットの作製
【研究分野】医用生体工学・生体材料学
【研究キーワード】
組織工学 / 組織ユニット / アビジン・ビオチン反応 / 光ピンセット / マイクロデバイス / ヘテロ組織ユニット / 肝組織工学 / アビジン・ビオチン結合
【研究成果の概要】
今年度は、以下の2つの研究を進めた。
1.細胞配列が完全に制御された組織の構築法確立と評価
一細胞操作技術として光ピンセット、それらを確実かつ簡単に行えるような専用のマイクロデバイスと、アビジン・ビオチン反応(AB反応)を用いることで、組織構築の完全な制御を目指した。まず、AB反応を使用したときに、2つの細胞の接触時間を1秒から5分まで変えて、確実な細胞ペアーの形成を測定した。通常の生物学的な細胞接着では90%のペアーの細胞接着には5分を要したが、同反応を使用することで、1秒以内に90%以上の細胞ペアー形成が行えた。また、専用マイクロデバイスを用いることで、10個の細胞からなる組織ユニットの形成を、約15分で構築できた。形成された組織ユニットは、培養液中で少なくとも3日間は形態を保っていたが、増殖は起きなかった。今後、生体と同レベルの組織機能を達成するために、細胞の配列および数などを広い範囲で変えて検討を行う必要があるが、そのような組織化実験に、開発したシステムは非常に有効に働くものと考えられた。
2.生体と同じ異なる細胞集団を持つヘテロ組織ユニット構築法確立と評価
肝ガン細胞やラット初代培養肝細胞とヒト臍帯静脈血管内皮細胞(HUVEC)との凝集体を、スケールアップが可能な浮遊培養にて形成する実験を行った。上記の異種細胞を懸濁状態で接触させても、個別細胞の凝集体が形成させるのみで、ヘテロな組織を形成することは全く不可能であったが、AB反応を利用することで、ヘテロ組織ユニットを数時間で迅速に効率よく形成させることが初めて可能となった。ラット正常肝細胞とHUVECとの凝集体では、培養を継続するにつれて、前者が内側に・後者が外側に再配置されることも明らかとなり、よりvivoに近い組織体を形成しえる可能性が示された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小島 伸彦 | 東京大学 | 生産技術研究所 | 助手 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,400千円 (直接経費: 3,400千円)