siRNAをビルディングブロックとする超分子構造体の創出と機能開発
【研究分野】高分子化学
【研究キーワード】
生体関連高分子 / ナノバイオ材料 / 高分子構造・物性 / ドラッグデリバリー / 自己組織化
【研究成果の概要】
H24年度は、単一のsiRNAを含む会合体(ユニットPICと名付ける)の安定性評価を中心とした一連の機能評価を行った。具体的には、ポリエチレングリコール(PEG)とポリリシンP(Lys)からなるブロック共重合体PEG-P(Lys)を、1本鎖PEG:分子量10,000~50,000、もしくは2本鎖PEG(PEGasus):分子量20,000~50,000、およびP(Lys):重合度20、40と組み合わせを変えて、PEG含有量の異なる種々のユニットPICを調製し、これらに対し、ポリアニオンであるヘパリンを加え、対ポリアニオンとの置き換わりに対する安定性を評価した(ヘパリン添加後のユニットPICからのsiRNA放出量を定量した)。その結果、PEG含有量の増大とともに、ユニットPICの安定性が顕著に増大する(siRNAが放出されにくくなる)ことが明らかになった。次に、この置き換わりに対する安定性がユニットPICの血中滞留性と相関するのかどうかを調べたところ、PEG分子量(もしくは含有量)の増大に伴い、ユニットPICの血中滞留性も劇的に改善されることが明らかになった。また、同一分子量のPEGとPEGasusを比較すると、PEGasusから成るユニットPICの方が有意に高い血中滞留性を有することも明らかになった。この理由に関しては次年度の検討課題としてあげる。一方、最も優れた血中滞留性を示したユニットPICに対し、がん治療実験の初期検討をヒト腎臓がんの皮下移植モデルマウスを構築して行ったところ、有意な抗腫瘍効果を得ることに成功した。次年度は、腫瘍組織内でのmRNA量の定量など、より詳細な生物実験を計画し、siRNAキャリアとしての可能性を検証する。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
長田 健介 | 東京大学 | 工学(系)研究科(研究院) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
宮田 完二郎 | 東京大学 | 医学(系)研究科(研究院) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2011-04-01 - 2014-03-31
【配分額】19,240千円 (直接経費: 14,800千円、間接経費: 4,440千円)