非アミド結合性ペプチドミメティック主鎖骨格の翻訳合成技術の開発
【研究キーワード】
リボソーム / 翻訳合成 / ペプチド医薬 / アミノキシ酸 / ヒドラジノ酸 / ペプチドミメティック / tRNA / 翻訳 / ペプチド創薬
【研究成果の概要】
ペプチド医薬品の実用化の促進に向けて、ペプチダーゼ耐性の低さや膜透過性の低さといった課題を克服する必要がある。そのためには、天然のアミド結合以外の結合様式により連結されたペプチドミメティック主鎖骨格の導入により機能を改善することが有効である。そこで、本研究ではリボソーム翻訳によりアミド結合以外の主鎖骨格を持つペプチドミメティック化合物群の合成を目指す。
リボソーム翻訳でペプチドミメティック化合物を合成する利点は、鋳型となるmRNAの配列を変えるだけで多様な配列のペプチドミメティック化合物を合成できることにある。mRNAの配列をランダマイズすれば、ランダムペプチドミメティック・ライブラリの構築も迅速かつ容易に可能である。このライブラリをmRNAディスプレイ法と組み合わせることで、標的となるタンパク質等に特異的に結合し阻害するペプチドミメティック群を容易にスクリーニングでき、新規ペプチドミメティック医薬品へと展開できる。
本年度は、3種類のα-ヒドラジノ酸および6種類のα-アミノキシ酸を3'末端にチャージした人工tRNA(Pro1E2)を用いて、ヒドラジノアミド結合およびオキシアミド結合を連続で導入することを実現した。Pro1E2はDアーム部分にEF-P認識配列を導入した人工tRNAであり、翻訳系にEF-Pを加えることでヒドラジノアミド結合およびオキシアミド結合の形成を促進できることを明らかにした。これにより、D-ヒドラジノプロリンのペプチド鎖中への10連続での導入、α-アミノキシ酢酸の7連続での導入に成功した。本手法によって合成されたα-ヒドラジノ酸およびα-アミノキシ酸を含むペプチドミメティック群は、今後新規ペプチド医薬品開発のプラットフォームとして期待できる。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(開拓)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】25,870千円 (直接経費: 19,900千円、間接経費: 5,970千円)