三角形平板状の形態を有する高度好塩性古細菌に関する研究
【研究分野】生物・生体工学
【研究キーワード】
高度好塩性古細菌 / 細胞表層糖タンパク質 / 遺伝子クローニング / 遺伝子発現 / PCR
【研究成果の概要】
Haloarcula japonica TR-1株は、石川県塩田土壌より分離された三角形平板状の形態を有する高度好塩性古菌一種である。本研究では、その形態維持機構の解明を目的として、H.japonica細胞表層の解析を行った。H.japonicaの細胞表層画分を電気泳動にかけたところ、本菌の細胞表層には分子量約17万の糖タンパク質(Cell Surface Glycoprotein:CSG)が多量に存在することがわかった。また、三角形平板状に生育させた菌を含む培地からマグネシウムイオンを除去したところ、菌は球状に変化した。菌の形態変化に伴い、CSGの菌体からの遊離が認められた。以上より、CSGは本菌の形態維持に密接に関与していることが強く示唆された。H.japonicaの細胞表層よりCSGの精製を行い、糖含量およびアミノ酸組成を明らかにした。次に、類縁菌由来のCSG遺伝子との相同性を想定することにより、本菌CSG遺伝子のPCRによる増幅を試みた。既報の類縁菌CSG遺伝子の相同領域に対応する合成DNAをプライマーとして用い、H.japonica染色体DNAを鋳型とするPCRを行った。その結果、約900塩基対のDNA断片が増幅され、本菌CSG遺伝子の一部と考えられた。そこで、H.japonica染色体ライブラリーを作製し、PCR産物をプローブとするコロニーハイブリダイゼーションおよび遺伝子ウォーキングを行い、CSG遺伝子全域を含むDNA断片のクローニングすることができた。さらに、本菌CSG遺伝子の大腸菌における発現にも成功した。
【研究代表者】