配糖体合成における新規グルコース縮合酵素の探索と有用配糖体の生産研究
【研究分野】生物・生体工学
【研究キーワード】
グルコース転移酵素 / グルコース縮合酵素 / グルコシダーゼ / 配糖体 / アルブチン / 酵素スクリーニング / 遺伝子発現 / マルトースホスホリラーゼ
【研究成果の概要】
本研究では、微生物酵素を用いた配糖体の新規合成方法に関する研究を行った。
Xanthomonas campestris WU-9701はα-アノマー選択的にグルコース転移を行う新規な酵素を生産する。当該酵素を利用して、アルコール性およびフェノール性の-OH基のグルコシル化を行った。また、これまでに報告のないチオール基のα-グルコシル化が可能であることも明らかにした。当該酵素の精製および諸性質の検討を行い、当該酵素の反応特性を明らかにした。また、当該酵素遺伝子(xgtA)をクローニングし、決定した塩基配列情報を他の類似酵素のものと比較解析し、相同性や当該酵素機能の特徴を考察するとともに、立体構造を推定するに至った。xgtAの大腸菌での高発現にも成功し、組換え酵素を利用したα-グルコシドの効率的な生産プロセスを構築した。
また、グルコース縮合によるグルコシド生産方法を確立するため、市販酵素および縮合活性を有する微生物のスクリーニングを検討した。市販酵素では、Aspergillus niger由来のグルコシダーゼを用いた場合、グルコースとヒドロキノンからのアルブチン合成を確認することができた。グルコースを糖基質とするとマルトースを生成し、かつ本酵素はマルトースを糖基質とした反応によってもアルブチンを合成した。したがって、グルコース縮合反応でマルトースが生成し、そのマルトースを糖基質としてグルコース転移が起こり、その結果、アルブチンが生成するものと予想された。また微生物スクリーニングでは、目的酵素の生産候補株であるYS003株を単離した。YS003株は、グルコース縮合活性を有してはいなかったが、炭素源をセロビオースにした場合、ヒドロキノンをβ-アノマー選択的にグルコシル化する酵素活性を有していることを確認できた。
また、市販のマルトースホスホリラーゼ(EC2.4.1.8,MPase)にα-グルコシド合成活性を初めて見出した。本反応はリン酸依存型の不可逆反応であり、マルトースを糖基質としてアルコール性-OH基を効率的にα-グルコシル化した。
【研究代表者】