リボゾーム機能とユウキ触媒活性の融合による有用蛋白質の生産
【研究分野】生物・生体工学
【研究キーワード】
リボゾーム / 生体外タンパク質合成系 / ピリジン / テンプレート重合 / 可溶性タンパク質因子 / 鋳型重合 / トランスロケーション / 抗生物質 / リボソーム / テンブレート重合 / 坑生物質 / rRNA / アミノピリジン / タンパク質合成系
【研究成果の概要】
生細胞中でのタンパク質合成反応はリポソームと呼ばれる細胞内小顆粒上で進行する。そして、リポゾーム上で合成されるポリアミノ酸すなわちタンパク質は、メッセンジャーRNA(mRNA)にコードされた遺伝情報に従って、分子量やモノマー配列といった一次構造が厳密に制御されており、その一次配列の均一性によって高機能性を発揮する。本研究では、生物由来のタンパク質合成システムを基盤として、天然に存在する20種類のアミノ酸しか使用できないという生物独自の制約に縛られない、新たなバイオシステムの創製を行う。さらに、このシステムを利用して材料工学的に興味深いにもかかわらず従来技術では生産不可能であった機能性タンパク質の合成を試みる。
具体的には、リポゾームを中心としたタンパク質合成系を、有機溶媒の一つであるピリジンと水との混合系中で再構築する。従来利用されてきた水溶液中での生体外タンパク質合成系は、リポゾームやmRNA以外に多数の可溶性タンパク質因子や化学エネルギー源であるアデノシン三リン酸(ATP)およびグアノシン三リン酸(GTP)を必要とし、モノマーであるアミノ酸をアミノアシル-tRNAの形で活性化してこの系に加えることにより、アミノ酸をmRNA特異的に重合している。これらの各成分を調製・最適化して安定な「タンパク質の生産システム」を構築することは極めて困難であり、実用化にはほど遠いのが現状である。この問題を解決する有望な手段として、我々は50-60%のピリジンを添加することにより、可溶性タンパク質因子やエネルギー源を一切必要とすることなく、アミノアシル結合のエネルギーのみで駆動する、新規な生体外タンパク質合成系の開発に成功した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大部 良隆 | 住友化学工業株式会社 | 筑波研究所 | 主席 |
志賀 昭信 | 住友化学工業株式会社 | 筑波研究所 | 所長 |
新田 至 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助手 | (Kakenデータベース) |
上田 卓也 | 東京大学 | 大学院・工学系研究科 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(A)
【研究期間】1996 - 1997
【配分額】9,400千円 (直接経費: 9,400千円)