生体-機械融合システムを規範とした適応行動発現アルゴリズムの獲得
【研究分野】知能機械学・機械システム
【研究キーワード】
昆虫 / ロボット / マルチモダリティ / 適応性 / 嗅覚 / 視覚 / フェロモン / カイコガ / 知能機械 / 知能ロボティクス / 生物・生体工学 / 適応行動 / 微小脳 / 本能行動
【研究成果の概要】
生体-機械融合システムの一つの形として,昆虫が移動ロボットを操縦する「昆虫操縦型ロボット」を開発し,操縦者である昆虫の環境適応性を評価した.昆虫操縦型ロボットは二輪式のロボットで,ロボット上の雄カイコガ(Bombyx mori)の歩行運動に基づいた運動を行うが,移動ロボットのモータ回転を操作することで,操縦者の意図と反する運動を引き起こし,それに対する操縦者の反応を見ることができる.実験では雌の性フェロモン源へ定位するというタスクをロボットに与え,モータ回転を人為的に操作しても操縦者(昆虫)の適応性により,ロボットがタスクを達成できるかどうか評価した.左右のモータ回転を非対称に設定し,昆虫が直進しても一方向へ旋回しやすくなるように設定したところ,ロボットはフェロモン源へ定位することができ,その際のロボットの左右の旋回量に有意差は見られなかった。しかし,昆虫の視野を白紙で覆ったところ定位成功率は低下し,左右の旋回量は,人為的に設定した左右の回転の偏りに有意に従う結果を得た.通常雄カイコガは,視覚情報なしでフェロモン源へ到達することが知られているが,昆虫操縦型ロボットを用いた実験結果から,身体性や環境の変化に対しては,視覚情報を統合することで定位能力を維持していることが示された.この人為的な操作に対する昆虫の補償行動の経時的変化を観察したところ,操作後1秒以内で直ちに行動変化が現れ,徐々に変化することはなかった.このことから,補償に必要な視覚情報は,反射のような速い感覚-運動系で行われていることが示唆された.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
高橋 宏知 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】萌芽研究
【研究期間】2006 - 2007
【配分額】3,500千円 (直接経費: 3,500千円)