プロスタグランジンD2による脳機能と炎症反応の相互作用機構の解明
【研究分野】生物分子化学
【研究キーワード】
睡眠 / 炎症 / 肥満 / 筋ジストロフィー / 血管新生 / サプリメント / 癌 / 危険性薬物 / 睡眠物質 / プロスタグランジンD2 / 阻害薬 / 結晶構造 / 外傷性脳障害 / 酵素阻害剤 / 受容体拮抗薬 / 脂質メディエーター / 結晶構造解析 / G蛋白質結合型受容体 / 酵素 / プロスタグランジン / 遺伝子欠損マウス / シクロオキシゲナーゼ / G蛋白質共役型受容体 / 脳・神経 / 蛋白質
【研究成果の概要】
プロスタグランジン(PG)D2を作るL型とH型の合成酵素、及び、その受容体DPとCRTH2に対する抗体や遺伝子操作マウスを作成して、睡眠や炎症における関与を調べた。脳のくも膜のL型酵素がPGD2を産生し、アデノシンを介して側坐核のA2A受容体発現神経を刺激して睡眠を起こすことを証明した。新生血管に発現するDP受容体が癌組織への血管新生を抑制することを見出した。高脂肪食により未成熟脂肪細胞でL型酵素が誘導され、CRTH2受容体を介して肥満の制御に関わることを見出した。治療法の無い難病であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの筋委縮に関わるH型酵素の阻害薬を開発して、臨床試験を開始した。
【研究の社会的意義】
睡眠物質に関する研究を発展させ、脳内の睡眠調節系を次々に明らかにした。マウス睡眠解析測定系を利用して、オレキシン受容体拮抗作用による新規睡眠薬スボレキサントの情動性脱力発作(カタプレキシー)、及び、大麻成分による痙攣発作を見出し、両薬物の危険性を公表した。亜鉛酵母、清酒酵母、海藻や米糠のポリフェノールなどの睡眠誘発素材を多数見出し、一部は睡眠サプリメントとして商品化された。国際宇宙ステーションの無重力環境で作成した高品質の蛋白質結晶と大型放射光施設での高分解能構造解析により、炎症に関係する酵素の阻害薬開発を進め、治療法の無い難病であるデュシェンヌ型筋ジストロフィーの臨床治験を開始した。
【研究代表者】