脳神経幹細胞の増殖分化を制御するサリドマイド標的因子セレブロンの新規作動薬の探索
【研究分野】生物分子化学
【研究キーワード】
セレブロン(CRBN) / サリドマイド / CRBN作動薬 / 脳発生 / iPS細胞 / 神経幹細胞 / ゼブラフィッシュ / CRBN / セレブロン / サリドマイド誘導体 / ヒトiPS細胞 / 脳発達 / ヒト型ゼブラフィッシュ / 活性発現の分子機構 / 活性発現の分子構造 / 脳・神経 / 発生・分化 / 再生医学 / 生体分子 / 薬学
【研究成果の概要】
サリドマイドの標的因子セレブロン(CRBN)が、発生過程における脳の神経幹細胞の増殖・分化に重要な役割を担うことを明らかにし、CRBNの新規基質として、四肢や耳のサリドマイド催奇形性を司るp63を新たに同定した。神経幹細胞を増殖させるCRBN作動薬を探索するため、サリドマイド誘導体にフッ素やヘテロ官能基を導入した100種以上の新規化合物の合成に成功し、ゼブラフィッシュおよびヒトiPS細胞由来の神経幹細胞を用いて、増殖亢進活性の高い新規CRBN作動薬を同定することに成功した。CRBN作動薬の薬効に関わる制御因子や新規基質タンパク質を同定し、新規CRBN作動薬の臨床応用に向けた段階に発展している。
【研究の社会的意義】
サリドマイドとCRBNによる脳発生と四肢催奇形性の分子機構を明らかにしたことで、サリドマイドの副作用を抑えた新薬の開発が可能となった。また、様々なサリドマイド誘導体の合成に成功し、ゼブラフィッシュおよびヒトiPS細胞を用いた活性の評価系を確立して神経幹細胞の増殖亢進活性の高い候補化合物4種を見出すことに成功したことで、分子構造から創薬を考えるアプローチが極めて有効なことが明らかになった。また、CRBN作動薬の制御因子や新規基質を同定し、得られた候補化合物が、ヒト神経幹細胞の増殖・分化を制御する脳神経疾患の新たな治療薬として、応用展開が可能であることが示された。
【研究代表者】