微量サンプルからの長鎖全ゲノムメチル化解析手法の開発
【研究キーワード】
DNAメチル化 / エピジェネティクス / ナノポアシークエンサー / エピゲノム
【研究成果の概要】
ヒト乳がん細胞株において、Enzymatic Methyl seq (EM-seq)による塩基変換とナノポアシークエンスを組み合わせた微量DNAから実施可能な全ゲノム長鎖DNAメチル化解析法nanoEMの開発を行った。また、塩基変換を用いた長鎖DNAメチル化解析のための実用的なパイプラインが存在しなかったため、データ解析パイプラインの開発についても行った。ショートリードのBisulfite-seq(BS-seq)に用いられるBismarkの解析戦略をロングリード用に応用したパイプラインを構築した。
開発したパイプラインで細胞株のnanoEMデータを解析し、メチル化状態を算出した。取得済みのショートリードのBS-seq及びEM-seqとナノポアシークエンスからのDNAメチル化の直接検出のデータと比較したところ、nanoEMはいずれのデータとも非常に高い相関を示すことが確認された。さらに、nanoEM法のインプット量の微量化について検討を行い、10 ngのゲノムDNAからであれば、十分な質のデータを取得できることを示した。開発したnanoEM法をヒト乳がん検体に応用し、臨床検体由来の微量DNAでも実施可能なことを示した。nanoEMリードを解析することにより、ショートリードでカバーすることが困難なリピート領域やインプリンティング領域を含む染色体ごとに異なるメチル化状態や構造変異周辺のメチル化状態の検出に成功した。
これらの成果については、2021年度中に、国内外の3つの学術雑誌への論文発表(Sakamoto et al. Nucleic acid research 2021; Zaha et al. Bio-protocol 2022; 関 他. 月刊細胞 2021)及び国内学会の学会発表(関 他 第44回分子生物学会年会 2021)を行った。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2021-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,680千円 (直接経費: 3,600千円、間接経費: 1,080千円)