RNA-結合蛋白のバランス仮説に基づく神経疾患の病態・治療法探索
【研究キーワード】
RNA / 小脳 / Purkinje / タンパク / TDP-43 / 脊髄小脳変性症 / RNA / RNA結合蛋白 / 動物モデル / 神経疾患 / 蛋白質
【研究成果の概要】
脊髄小脳失調症31型(SCA31)は、BEAN遺伝子のイントロン内にTGGAAの5塩基が1.25~2Kbに及ぶ長いリピートとして存在することを原因とする、我が国において最も頻度が高い脊髄小脳変性症の一つである。本研究では、研究者が作製したモデルマウスSCA31-BACトランスジェニック(Tg)マウスの歩行解析と遺伝子発現解析を行ったものである。詳細な定速式および加速式rotarod解析で、このマウスは生後67-68週で異常を表すことを明らかにした。同時期の遺伝子発現をRNA-seqで検証したところ、対照マウスに比べていくつもの異常を見い出した。このうち、病態の範囲を示唆する遺伝子群を抽出する。
【研究の社会的意義】
本研究は、難治性神経疾患、脊髄小脳変性症「SCA31」の病態を探索する研究である。代表研究者らは2009年にSCA31の原因を発見し、その原因遺伝子部分をマウスに導入して作製したものがSCA31 BAC-Tgである。これまでSCA31のモデルマウスは存在しないため、SCA31 BAC-Tgが、モデルマウスとして妥当かどうかを明らかにすることにもつながる。本研究の結果、このマウスでは患者と同じ遺伝子異常を発現し、67週齢頃に異常な運動症状を表していることが解った。さらに、その病態を明らかにする異常な遺伝子発現状態を確認することができ、SCA31の病態を解明する大きな進歩を果たした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
柳原 大 | 東京大学 | 大学院総合文化研究科 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2018-04-01 - 2021-03-31
【配分額】17,290千円 (直接経費: 13,300千円、間接経費: 3,990千円)