超天然変性タンパク質の個体レベルでの生理機能解析
【研究キーワード】
超天然変性タンパク質 / 天然変性領域 / 相分離 / ゲノム編集
【研究成果の概要】
本研究は全長に渡って天然変性領域を持つ超天然変性タンパク質に注目し、その変異体を作製することで、機能未知の超天然変性タンパク質の生理機能を明らかにすることを目的としている。これまでの研究によって、病原性の凝集体形成を阻害したりタンパク質を変性から保護する活性を持つ超天然変性タンパク質が少なくとも6種類あることが明らかとなっていた。そこでこれらの遺伝子全てについてゲノム編集マウスを作製したところ、Hero11とHero45の二種類の遺伝子のホモ個体の生体は観察されず、胎生致死になることが予想された。さらに詳細な解析を行ったところ、Hero11は胎生5.5日目から7.5日目の間に、Hero45は胎生14日目以降に致死になることが明らかとなった。また、Hero11のノックアウトマウスから樹立したES細胞は野生型のES細胞に比べて増殖が大きく低下することが明らかとなった。さらに、Hero45のメスのヘテロマウスは、交尾をして妊娠しても正常に出産できない個体が頻繁に見られることが分かった。
Hero11とHero45の分子動作機構を明らかにするために、これらのタンパク質にタグを付けた分子を培養細胞に発現させたところ、Hero11は核に局在し、核小体に特に濃縮すること、Hero45は主として細胞質に局在することが明らかとなった。また、Hero11がタンパク質の凝集体形成を抑制する際に、その細胞内局在が変化することも明らかとなった。
これらに加え、小胞体に局在し、細胞内ドメインが天然変性領域からなる機能未知タンパク質UGS148についても変異マウスを作製し、その表現型解析を行った。その結果、UGS148は間脳脳室腹側に存在するタニサイト細胞の小胞体に特異的に分布するほかオレキシンニューロンにも強い発現が見られること、しかしながらノックアウトマウスは大きな異常を示さないことが明らかとなった。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
泊 幸秀 | 東京大学 | 定量生命科学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】6,500千円 (直接経費: 5,000千円、間接経費: 1,500千円)