収縮系の機能的構造的改壁と再構築ー微量調節タンパク質に着目しつつー
【研究分野】分子遺伝学・分子生理学
【研究キーワード】
筋原線維 / 顕微操作 / 自発的振動収縮 / 筋フィラメント / 筋収縮 / ゲルゾリン / アクチン / βーアクチニン / 収縮系の再構築 / ミオシンフィラメント / アクチンフィラメント / 微量調節タンパク質
【研究成果の概要】
今年度の成果の第一は、直径1ー2μmの単一筋原線維や直径数μmの筋原線維束を顕微操作できるようになったことである。総合倍率400ー600倍の倒立位相差顕微鏡下で、液交換できるようにした自作の薄いセルの中で、2本のガラス針に筋原線維の両端を引っかける。ガラス針の一方を細くして、その曲がりの程度から発生張力を見積る。その結果、SPOCとよぶ自発的振動収縮の条件下で、筋原線維が弱いながらも張力を発生し、振動することが分かった。さらに、このようなことが可能になったために、筋フィラメントを精度よく解体できるようになり、しかも再構築が容急になり、同時にその収縮特性をも検討できるようになった。予備実験として、太いフィラメントを両端溶解した後のSPOC(フィラメント長が半分になっても振動する)や、ゲルゾリン処理法によって細いフィラメントを選択除去し、その後精製アクチンを加えて細いフィラメントを再構成した筋原線維の発生張力などを検討した。
ところで、本研究のテ-マの一つである、細いフィラメントの自由(P)端に結合しているはずのβーアクチニンについては、その発見者の丸山工作氏(千葉大、理)自身によって、P端ではなくB端キャップである可能性が強く示唆されたことによって、現在ほとんど白紙に近い状態になってしまった。つまりこれまでβーアクタニンといわれてきた35kDと31kDの2量体は、B端キャップであるということである。しかし我々は既に、独自の方法で、少なくとP端キャップが存在することを示している。また我々は、ゲルゾリン処理法によって細いフィラメントの自由端を単離し、この分画に35kDと31kDの成分がほぼ等量存在することを確認した。(船津等)が、P端キャップの同定のためには、今まで以上により詳細な検討が必要であることが判明した。
【研究代表者】
【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1988 - 1989
【配分額】7,300千円 (直接経費: 7,300千円)