細胞骨格繊維系の動的性質に関する研究
【研究分野】分子遺伝学・分子生理学
【研究キーワード】
細胞質分裂 / アクチン繊維 / 微小管 / 中間径繊維 / 収縮環 / 分裂装置 / ダイニン / キネシン / 細胞接着装置 / ミオシン / リン酸化
【研究成果の概要】
(1)細胞質分裂:収縮環の形成には蛋白質リン酸化と低分子量G蛋白質rhoが関与していることが示唆された。(2)in vitro運動系:トロポミオシン-トロポニンはアクトミオシン相互作用におけるエネルギー変換効率を高めることが分かった。キネシン頭部の特定部位を基質に固定化し、キネシン頭部だけでも微小管を滑走させることを見いだした。(3)アクチン機能:テトラヒメナと粘菌のキメラアクチンを作製し、アクチンの機能部位を調べた結果、38-83アミノ酸配列がDNaseI結合を担うことが分かった。(4)細胞膜裏打ち構造:アンチセンスDNA法により、エズリン・ラディキシン・モエシン(ERM)がアクチン繊維の構築に関与していることを示した。またERMは細胞膜蛋白質CD44と直接結合することを示した。(5)分裂装置:微小管安定化剤であるヘキシレングリコールは3%未満では中期紡錘体を大きくし、染色体運動を遅める作用をした。(6)色素細胞運動:白色素胞の運動がモーター蛋白質と微小管の相互作用で起こることを示した。また黒色素胞の色素顆粒凝集に先立つCaイオン濃度の上昇を観察した。(7)脳微小管:抗チューブリン抗体E3B8のエピトープが全てのα-チューブリンアイソタイプに共通の432-452のアミノ酸配列領域に存在することを明らかにした。(8)微小管の動的性質:微小管はMAPS結合位置で脱重合相から重合相へスイッチすることが示された。MAPSのこの微小管安定化能はMPFによるリン酸化で消失した。22SダイニンはATP感受性結合をし、微小管を安定化することが分かった。(9)中間径繊維:ウシ脊髄のニューロフィラメントにはタイプ2A蛋白質フォスファターゼが結合しニューロフィラメントの構造維持に働いていることが分かった。細胞質分裂期の中間径繊維キナーゼの候補としてCa-CaM依存性キナーゼが考えられた。
【研究代表者】