非特異免疫能に及ぼす各種ストレスの影響
【研究分野】衛生学
【研究キーワード】
拘束ストレス / 電撃ストレス / 心理ストレス / 非特異免疫 / 好中球 / 肺胞マクロファージ / リンパ球 / ラット / 活性酸素 / 臨床検査 / 貧食 / NBT
【研究成果の概要】
ストレスと免疫系との関係に関するほとんどの文献はリンパ球との関係についての研究で、初期感染防御において重要な働きを行なっている好中球機能については貧食あるいは殺菌能の単独の影響以外あまり重視されてこなかった。感染症の場合は抗原である病原微生物がそれに対応する抗体との反応-すなわちリンパ球を中心とする特異免疫反応が重要であったが、発癌や心臓病をはじめとする成人病の場合には貧食細胞の放出する活性酸素産生能の効率化や異物処理機能やNK活性などの非特異免疫との関係が重要な鍵を握ると思われる。そこで、本研究では非特異免疫能がどのようなストレッサーによりどのような影響を受けるのかをラットを用いて明らかにした。
本研究は二つの実験よりなり、実験1では通常な人間生活ではありえない拘束ストレスの影響をみたが、実験2では精神的ストレスと肉体的ストレスの特異的・非特異的免疫機能に及ぼす影響をみた。これは電気ストレスを与えられている物理的ストレス群、自身では何ら肉体的ストレスを持たないが透明なプラスチック板ごしに電気ストレスを受けているラットをみている心理的ストレス群、および対照群の3群の比較をおこなった。
その結果初回の拘束ストレス直後ではリンパ球が3分の1近くの減少を示したのに対し、好中球数は2.5倍の増加と、急激な貧食能の低下を見た。拘束ストレス3回直後では慣れたのか貧食能は回復したが、貧食能と活性酸素産生能の間の相関性は回復しかった。またNOの産生量の増加とそれにともなうTBRS産生量と肺胞マクロファージの殺菌能上昇も認められた。心理的ストレス群は物理的ストレス群よりも好中球の貧食・活性酸素産生能の相関性がそこなわれたばかりでなく、肺胞マクロファージの貧食能の低下、刺激時の活性酸素産生能の低下、NK活性の低下、リンパ球の幼若化の低下等多くの変化が認められた。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
林 修 | 女子栄養大学 | 栄養学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1996 - 1997
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)