寄生虫ミトコンドリアに見られる、縮小化した機能性RNAを持つ翻訳系の解析
【研究分野】寄生虫学(含衛生動物学)
【研究キーワード】
寄生性線虫 / ミトコンドリア / タンパク質合成 / 機能性RNA / リボソーム / tRNA / EF-Tu / 線虫
【研究成果の概要】
多細胞動物のミトコンドリアのタンパク質合成系は、様々な点で真核生物の細胞質や原核生物のタンパク質合成系と異なる特徴を持つ事が明らかになってきた。その中で、線形動物ミトコンドリアのタンパク質合成系は、多細胞生物の中で最短のtRNAセットと最小クラスのリボソームRNAを持つ事が、その遺伝子配列から予測されていた。そこで、タンパク質合成系の機能性RNAが縮小化した際、どのような影響が生じるのかという点が明らかにするため、われわれは寄生性線虫および自由性生活性線虫のミトコンドリアタンパク質合成系を解析してきた。本研究では、これをさらに発展させると共に、このような機能性RNAの縮小化がなぜ起きるのかにも迫った。2年間の主な成果は以下のとおりである。
1.細胞内に微量しか存在すしないミトコンドリアリボソームを、効率よく、高純度に調製するために、タグ付きミトコンドリアリボソームタンパク質を発現する組換え線虫を作製した。この線虫内ではタグつきタンパク質がミトコンドリアに移行し、リボソームに取り込まれていることが示唆された。しかし、現在用いているタグ配列に対するアフィニティ精製では高純度のリボソームを得ることができなかった。複数種のタンパク質とタグ配列の組み合わせを検討する必要があると考えられる。
2.自由生活性線虫Caenorhabditid elegansミトコンドリアEF-Tu2のアミノアシル基特異性をもたらす領域を、高度好熱性細菌のEF-TuにEF-Tu2の配列を移植していくことで明らかにした。
3.旋毛虫ミトコンドリアEF-TuのアミノアシルtRNAに対する結合能を明らかにした。
4.節足動物ミトコンドリアEF-TuのアミノアシルtRNAに対する結合能を明らかにした。
5.新規tRNAメチル基転位酵素候補を同定した。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
大槻 高史 | 岡山大学 | 工学部 | 講師 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2005 - 2006
【配分額】3,600千円 (直接経費: 3,600千円)