形状記憶ポリマーを用いた膨膜マイクロマニピュレータの開発
【研究分野】知能機械学・機械システム
【研究キーワード】
マイクロマシン / マニピュレータ / 形状記憶樹脂 / 膨膜 / 大たわみ / 浸漬成形 / マイクロヒータ / 材料試験 / マイクロマニピュレータ / ディップ法 / 変形解析 / 有限要素法 / アクチュエータ / ゴム状弾性
【研究成果の概要】
本研究では,数百%と大きな回復ひずみをもつ形状記憶樹脂をマイクロ機構の関節部の変形部材に応用することで,小形・微小化が可能で,かつ関節部に大きな出力角変位を有する膨膜駆動形のマイクロマニピュレータの開発を行っている.本研究から得られた結果を要約し以下に示す.
形状記憶樹脂の回復ひずみが一般材料の弾性限界ひずみよりも50倍以上と大きい為,マニピュレータの関節部のヒンジ材料に形状記憶樹脂を応用した場合には,関節部のヒンジ長さは同じ出力角変位に関して50分の1以下になる.よって,小形・微小化の観点から,マイクロマシンの関節ヒンジへの形状記憶樹脂の応用は有効である.
浸漬成形により形状記憶樹脂の管を製作し,駆動力を管内に伝わる空気圧とすることで,小形・微小化に向く膨膜駆動形のマイクロマニピュレータを提案した.また,加熱ヒータを多数装着することでマニピュレーを多自由度にできることを示した.
引張り試験から,硬化状態に比べ軟化時の形状記憶樹脂の弾性係数は300〜900分の1である.このことから,マニピュレータ関節部での変形機能と内圧を伝達する為の管路機能の両方を一様厚さの管で実現できる.テフロンチューブを型とした浸漬成形法による形状記憶樹脂管の製作工程を示した.引上げ速さ0.04mm/s,粘度4.6×10^4cPの条件で内径1mm,長さ100mmの形状記憶樹脂管の試作を行い,各断面において平均厚さに対するばらつきが約20%の管を製作した.
外部熱源を用いて樹脂管に温度分布を生じさせる駆動実験を行い,変形部長さ3mmで45°の変位角を得た.ニクロム箔で試作したマイクロヒータを用いた駆動実験から,剛性の大きな金属箔製ヒータでは膨膜時にヒータ端部での応力集中で管に破裂が起きることを確認し,解決方法として管の膨膜変形と伴に柔軟に変形可能な形状記憶樹脂への銀粉混入によるヒータ提案した.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
堀江 三喜男 | 東京工業大学 | 精密工学研究所 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】1999 - 2000
【配分額】8,900千円 (直接経費: 8,900千円)