衛星搭載風ライダーによる風高度分布観測の空間分解能最適化に関する研究
【研究キーワード】
ドップラー風ライダー / 衛星 / 数値予報 / データ同化 / ライダーシミュレータ / 光計測 / 衛星搭載 / ライダー / 風 / ドップラー / 観測システムシミュレーション実験
【研究成果の概要】
最終年度は、前年度実施したライダーシミュレーションの動作確認試験を踏まえ、ライダーシミュレーション実験を実施するにあたっての課題を見直した。課題を修正した後、空間分解能を向上した疑似真値場(2018年1月、8月)を用いて、高度分解能を変えたライダーシミュレーションや異なるレーザシステム(1.5ーμmと2-μm)によるライダーシミュレーションを実施した。ライダーシミュレーションで得られた結果を用いて、1ヶ月間のデータ同化実験を行い、数値予報へのインパクトを調査した。
高度分解能を2kmから1kmへ変えたライダーシミュレーションでは、WMOの要求精度は満たすものの信号対雑音比の劣化からと推定される風速性能の劣化の傾向があることが分かった。その一方で、航空機の安全運行の障害となる大気乱流の予測のためには、空間分解能を0.2-0.5kmにする必要がある事が分かった。
異なるレーザ波長(1.5-μmと2-μm)のシステムに異なるレーザシステム(1.5-μmと2-μm)によるデータ同化実験では、両システムともに数値予報に対してポジティブなインパクトを示した。各気象要素の改善度について調査したところ、予報時間初期を中心に波長1.5-μmレーザを用いるシステムでは最大3%程度、波長2-μmレーザを用いるシステムでは最大2%程度改善することが分かった。レーザシステム性能の違いにより、予報精度の改善に差が生じることが分かった。
宇宙から衛星搭載ドップラー風ライダーによる風観測を行い、数値予報と大気乱流予測にインパクトを与えるためには、観測高度帯と予測対象に応じて空間分解能を分けて観測できる衛星搭載ドップラー風ライダーとデータを解析できるアルゴリズム開発が必要である。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
岡本 幸三 | 気象庁気象研究所 | 気象観測研究部 | 室長 | (Kakenデータベース) |
久保田 拓志 | 国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構 | 第一宇宙技術部門 | 研究領域主幹 | (Kakenデータベース) |
宮本 佳明 | 慶應義塾大学 | 環境情報学部(藤沢) | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】3,380千円 (直接経費: 2,600千円、間接経費: 780千円)