新世代衛星・現地機動観測を融合する突発的な黒潮の沿岸進入過程の予測と理解
【研究キーワード】
急潮 / 黒潮 / 海洋モデル / データ同化 / リモートセンシング / 沿岸海洋観測システム / 海洋予測モデル / 駿河湾 / 豊後水道
【研究成果の概要】
海洋予測モデルは、従来の分解能に加え日本周辺1/120度のモデル、さらに豊後水道・駿河湾では水平分解能1/500度のモデルを準備し、海洋予測を実施すると共に、配信体制を整えた。さらに、河川モデルや、アンサンブル予測の導入を行った。海流予測モデルを利用し、黒潮の沿岸環境への影響の例として、東京オリンピック日本セーリングチーム支援、海洋プラスチック拡散、福徳岡ノ場からの軽石漂流予測などの社会応用を実施した。
豊後水道では、北部佐田岬半島先端部での高頻度多項目モニタリング及び北部の潮汐フロント周辺海域における断面観測を実施した。特に、2021年7月の大潮・小潮に潮汐フロントを横断する測線で乱流計測を実施した。最も強い乱流は下げ潮時に暖水フロントの表層10mで観測された。この強い乱流は顕著な鉛直密度逆転を伴っておりフロントの移流に伴う対流不安定によって生じたと考えられる。さらに、豊後水道西部での係留観測による高頻度多層水温モニタリングの立ち上げを実施した。2021年6月より順次データを取得している。観測は,臼杵湾,佐伯湾,猪串湾の3点で行い,各測点における水温鉛直分布と表層塩分,加えて佐伯湾における海底付近の塩分を測定している。
駿河湾では、湾内の3カ所において、係留海洋観測(水温塩分計と電磁流速計)を実施することに成功した。また、静岡県水産・海洋技術研究所が実施している駿河湾の定期海洋観測データ(CTD観測)を解析し,2002-2020の期間における水温・塩分・密度で特徴づけられる水塊特性について,月ごとの温度・塩分ダイアグラムの頻度分布を作成して調べた.その結果,コア水塊としてほぼ変動のない重い水塊と表層の顕著な変化をもつ温度・塩分構造が認められた.
【研究代表者】