軸流圧縮機動・静翼列の過渡流れに関する実験と数値シミュレーション研究(旋回失速付近および突入・回復過程における流れ構造と制御)
【研究分野】流体工学
【研究キーワード】
軸流圧縮機 / 数値解析 / 非定常圧縮性流れ / 翼列流れ / 旋回失速 / 渦系流れ / 熱薄膜流速プローブ / 旋回失速制御 / 航空エンジン圧縮機 / 非定常圧縮性流れ解析 / 失速セル構造 / 3次元乱れ計測 / 翼列 / 数値流体力学 / 非定常流 / 渦 / 非定常流速計測 / 圧縮機 / はく離 / 流体計測
【研究成果の概要】
航空エンジン等ガスタービンの高性能化に対し,主要構成要素である圧縮機の安定運転範囲を拡大して旋回失速突入を抑制し,あるいは速やかな失速離脱の技術を開発することは,主要な課題の一つである.
本研究の目的は,軸流圧縮機による実験と2次元圧縮性ナビエ・ストークス方程式の数値解析の両面から,旋回失速と不安定現象のメカニズムを把握し,有効な制御の基礎を見いだすことである.従来多くの研究がなされているが,遷音速域にまで及ぶ現象把握は十分ではない.
数値解析では,動翼列と静翼列の相対運動が誘起する非定常流れ場の諸相を明かにした.十分に多い翼枚数を扱い,正常から失速に至る流量範囲と,遷音速に及ぶ速度範囲で,圧縮機全特性をシミュレートしたもので,独創的な数値実験といえる.動翼マッハ数が0.3程度の低速では実験により,遷音速では企業設置機械の特性と比較し,このシミュレーションの信頼性と有る程度の実用性を確認した.
旋回失速の構造について,流入流れが翼列の一部に発生する高圧澱み域に衝突して形成する双子渦構造を提示した.この翼列内伝播速度と誘起される逆流速度は,開発した熱薄膜プローブによる実測結果とも良く一致する.遷音速域では,衝撃波の存在によりかなり異なった形態をとる.2次元での結果であるが,この渦系に焦点を絞って力学モデルを確立し,小規模な数値解析により3次元構造を評価し得る見通しを得た.
失速に至る不安定構造として,ある翼の後縁で正圧面流れが負圧面に回り込むような高負荷状態で,翼端渦がこれを促進し,圧縮機入口の非一様流れが同期することを予見した.失速遅延法については,現在,安定流量範囲が15%程度改善される結果を得ている.
以上,種々の知見と共に、新たな具体的課題と方法を得ることができた.平成7年度日本ガスタービン学会賞の受賞を付記しておく.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
太田 有 (大田 有) | 早稲田大学 | 理工学部 | 助教授 | (Kakenデータベース) |
田島 清ひろ (田島 清〓) | 早稲田大学 | 理工学部 | 教授 | (Kakenデータベース) |
|
【研究種目】一般研究(B)
【研究期間】1993 - 1995
【配分額】6,800千円 (直接経費: 6,800千円)