局所的な組織剛性のリアルタイム計測による安全で高効率な高周波メスの開発
【研究キーワード】
剛性 / 生体組織 / センシング / 振動応答 / 高周波メス / 超音波 / 局所剛性計測 / 選択的切除
【研究成果の概要】
令和3年度は,研究のスタートとしてまず本課題で提案する剛性計測原理の実現可能性について確認するために,関連分野の研究について広範な調査を実施した.本課題で行う局所剛性計測の対象は手術中の生体組織であり,非常に軟質かつ複合組織となっていることから,工学における振動計測で一般に対象となる硬質かつ均質な材料とは大きく異なる.このことから,最終目的であるデバイス開発には多くの工夫が必要である.調査の結果から,果物のような複合組織については,振動応答の計測により弾性特性を評価できるとした報告もあり,本課題の目的達成が十分可能であることが確認できた.従って加振パラメータなどを適切に設定することで必要な精度で剛性計測が実現できると考えられる.
一方,研究期間を通して使用するための実験装置の設計にも着手した.本装置の中心となる操作部は人が片手で持ちながら使用する事を想定しており,操作対象に対して加振を行うための加振装置と,その加振に対して操作対象の振動応答を計測するための加速度ピックアップ,同時に反力を計測するためのロードセルを備えたもので,加振装置については対象が軟質であることもあり比較的低出力の超音波振動子を用いることとしている.一方,この操作部を動かしながら対象に力を加えたり,先端に刃物を取り付けることで切開動作を行う実験を高い再現性で行うため,PCにより制御が可能な2軸の自動ステージを構成し,操作部をステージ上に設置することで実験装置全体を構成する事としている.
さらに,初期段階の実験に用いる生体組織を模した人工的な操作対象の準備を検討し,医師が訓練に用いる際に用いるシリコンゴムをベースとした材料を入手し,それを成形することで使用することとした.また,医療分野の生体モデルなどの作成に用いられる3次元プリンタによる人口組織もでるを用いることも検討中である.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
朱 疆 | 東京工業大学 | 工学院 | 助教 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)