超音波の逆演算に基づく定量非破壊評価機器の試作
【研究分野】溶接工学
【研究キーワード】
アコースティック・エミッション / 逆演算 / 定量非破壊 / マイクロクラック / 複合材料 / 界面 / 超音波 / AE / セラミックコーティング / アコースティック・エッミション / 逆問題解析 / モーメントテンソル
【研究成果の概要】
アコースティック・エミッション(AE)変換子で検出した微視割れを、逆演算解析することにより動的に定量評価を行い、かつ超音波探傷子により微視割れ合体の大きさを同定する新しいタイプの非破壊評価機器を開発を行ない、金属、複合材料、セラミックスコーティングの非破壊評価を行った。
超音波逆演算装置の開発では、検出されたAE信号V(t)の逆演算を行うことで、割れ体積D(t)を導出し、弾性論による円柱クラックモデルを用いて微視割れの「寸法・形状」、微小き裂進展面の「傾き」・「割れモード」を定量的に求めた。そのための機器として、AE変換子、及び高速大容量AE波形収録解析装置を試作し、併せて微視割れ検出可能な波形収録解析型超音波Cスコープ装置を開発した。
金属の非破壊評価では、ラメラ組織を有するTiAlの微視割れ生成速度の定量化を行なうことで、微視破壊機構の負荷速度依存生を明らかにした。すなわち、低負荷速度において有効であったシェアリガメントによる高靱化は、微視割れ生成時間よりも高速な衝撃負荷速度では寄与しないことが明らかにされた。一方、複合材料の非破壊評価では、AE放射形式による割れモード解析と、波形解析型超音波Cスコープを用いた破壊進展挙動の解析を行なわれた。切り欠き付きアングルプライCFRPの破壊進展機構は、まず切り欠き近傍においてせん断型破壊であるデボンディングが起点となり、このデボンディングが積層間の引張り型マトリックス割れとして合体し、その後デボンディングとマトリックス割れの混合型破壊が層間剥離として進展したことが明かにされた。さらに、セラミックスコーティングの非破壊評価では、AEによる位置標定情報に基づいた波形解析型Cスコープの探傷結果により、熱衝撃による層間剥離進展挙動が定量的に検出できることが示された。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
宮 武和 | 研究開発部(研究職) | 部長 |
尾原 佳信 | 積水化成品工業(株) | 中央研究所 | 研究員 |
増野 茂美 | 日本たばこ産業(株) | 生産技術研究所 | 主任研究員 |
榎 学 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 助教授 | (Kakenデータベース) |
志波 光晴 | 東京大学 | 先端科学技術研究センター | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】試験研究(B)
【研究期間】1992 - 1994
【配分額】16,100千円 (直接経費: 16,100千円)