各種社会基盤構造物の維持管理システムに関する研究
【研究分野】土木材料・力学一般
【研究キーワード】
維持管理システム / 拡散係数 / 電気泳動法 / 塩害 / 中性化 / アルカリ骨材反応 / 複合劣化 / AE法 / 維持・管理 / 補修・補強 / モニタリング / 劣化 / 塩化物イオン / AE / 非破壊試験
【研究成果の概要】
構造物の維持管理システム構築に必要な要素技術の向上を目指す研究を行うとともに、この成果を構造の維持管理システムに関する既往の成果に組み込むことにより、より高度な維持管理システムの構築を図った。要素技術に関する成果は、以下のようである。
(1)コンクリート中における非定常状態の塩化物イオン濃度分布に大きな影響を与える要因を明瞭にするとともに、塩化物イオンの拡散に及ぼすひび割れの影響を定式化した。
(2)塩害、中性化およびカルシウム溶出による劣化の経時変化予測手法、マクロセル腐食に対する変状モニタリング手法および電着による補修方法を提示した。
(3)凍害によるコンクリートの損傷を表す指標として残留引張ひずみを提示し、これを導入した損傷コンクリートの力学モデルを構築して、凍害による構造性能変化を解析する道を開いた。
(4)アルカリ骨材反応(ASR)が構造物の耐荷性状に及ぼす影響につき、2,3の知見を得た。
(5)塩害とASRが複合する場合の鉄筋の腐食に及ぼすASRの影響を定量的に明らかにするとともに、塩害と中性化が複合する場合の鉄筋の腐食速度を解析的に推定可能であることを示した。
(6)供用中のコンクリート構造物における損傷診断に、AE法を適用できる可能性を確認した。また、光ファイバセンシングによるコンクリート構造物のひび割れ分布その他をモニタリングする手法について、成果を得た。
(7)コンクリート劣化による物質移動に伴う内部ひずみを剛体バネモデルにトラスモデルを組み合わせて取り扱う解析手法を開発した。
(8)連続繊維シート巻立てあるいは鋼板接着により補修補強する工法の効果について、これを実験的に検討するとともに、解析的に評価し得る成果を得た。
以上を組み込んだ維持管理システムは、大枠こそ従来の方法を踏襲しているが、可能なところで、学術的に裏付けされた手法を組み込み、より高度なものとなったといえる。
【研究代表者】