学術的検証に裏打ちされた市民参加型橋梁メンテナンスシステムの構築
【研究キーワード】
橋梁 / メンテナンス / 市民参加 / 社会科学 / 建設マネジメント / 橋 / セルフメンテナンス / 市民協働 / 現代版普請
【研究成果の概要】
本研究の目的は,研究代表者らがこれまで進めてきた取り組みの効果を工学的に検証すると共に,社会科学的手法に基づき定量評価し,さらには建設マネジメントの視点から,システムとして各地に展開するための方法論を構築することである.そのため,①日本古来の「普請」を現代版に改良し,官学産民の連携によりメンテナンスする仕組みの有用性を学術的に立証すること,②その効果について,経済理論をはじめとする社会科学的手法に基づき定量評価すること,③こうした取り組みを建設マネジメントの視点から持続可能なシステムとして成立させることにより,官学産民一体となって,地方インフラのメンテナンスを実践するための方法論を見出し,各地に展開することを目指す.以下に2021年度の研究実績を示す.
福島県平田村をフィールドに市民参加型橋梁メンテナンスシステムについて調査・分析を行うとともに,本取組みを持続可能なものとし,各地へ水平展開を図るために,法的観点も踏まえた市民の安全意識向上のためのシステムを構築し,論文に投稿するとともにHPに公開した.さらに,全国各地において市民参加型橋梁メンテナンスシステムや,本システムを下支えする小中高生に対する土木教育プログラムに関する講演を多数実施した(岩城・浅野・前島).
市民が負うべきリスクを極力小さくしながらも適正なレベルで公物管理が行えるような制度設計の枠組みの検討をインフラマネジメントの観点で行った.その結果,インフラメンテナンスにおけるリスクや瑕疵の責任や対応方策に関する知見を得た(岩波).
本取り組みの社会経済効果を明らかにする手法を開発するとともにその計測を試みた. 本研究が提案する社会インフラ点検維持の参加型事業システムは,参加者間の「絆」や「信頼」で動く持続可能な新たなシステムの構築を目指した検討を行った(福山).
【研究代表者】