高密度イオン推進機のデジタルツイン創成と電子異常輸送制御法の確立
【研究キーワード】
電気推進 / ホールスラスタ / 放電制御 / 数値流体力学 / プラズマ / ホローカソード / 水
【研究成果の概要】
(1)勾配ドリフト不安定性と電子異常輸送に関するプラズマシミュレーション
磁化プラズマ中の電子異常輸送現象を解析するため、ホールスラスタの軸方向ー周方向を対象とした二次元コードを開発し、様々な推進機を対象に解析を進めた。ホールスラスタにはマグネティックレイヤ型とアノードレイヤ型と呼ばれる異なる方式の推進機が存在するが、特にアノードレイヤ型における電子異常輸送の特性は理解されていなかった。今年度これら二つの方式の実在する推進機を対象にシミュレーションを行ったところ、どちらの方式においても放電チャネルの出口付近からプルーム(下流)領域において勾配ドリフト不安定性と呼ばれるプラズマ振動現象が誘起され、電子異常輸送が生じることが分かった。開発中のシミュレーションコードが幅広い電気推進機のプラズマに対し、電子異常輸送現象の解析が可能であることが示唆された。
(2)中和器電子源の放電モデル精緻化
本研究課題で開発を目指すイオン推進機デジタルツインの一つのコンポーネントとして、中和器電子源のシミュレーションコードを開発している。今年度は放電プラズマと熱電子放出部材に関するモデル精緻化を進めた。六ホウ化ランタンを用いた熱電子放出部材の蒸発量、プラズマから電子源各部へ流入する熱流束、電子源各部のスパッタリング量などが解析可能となった。
(3)水推進剤を用いたホールスラスタのビーム計測とシミュレーション
水推進剤を用いたホールスラスタの開発が進められているが、この推進機に対するイオンビーム計測装置の開発を行った。またプラズマシミュレーションコードを水推進剤に対応可能にするため、水に対する化学反応モデルを実装した。水を推進剤に用いたホールスラスタのシミュレーションを行い、放電プラズマが維持される推進機作動条件が存在することを明らかにした。
【研究代表者】
【研究分担者】 |
小泉 宏之 | 東京大学 | 大学院新領域創成科学研究科 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
鷹尾 祥典 | 横浜国立大学 | 大学院工学研究院 | 准教授 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(B)
【研究期間】2020-04-01 - 2024-03-31
【配分額】15,080千円 (直接経費: 11,600千円、間接経費: 3,480千円)