乱流予混合火炎の構造とフラクタル特性に関する研究
【研究分野】熱工学
【研究キーワード】
燃焼 / 乱流 / 予混合火炎 / フラクタル / 乱流燃焼速度 / 直接数値計算 / 詳細化学反応機構
【研究成果の概要】
乱流燃焼は,速度,温度,密度,圧力及び濃度変動と化学反応が相互に干渉し合う非常に複雑な現象であり,乱流燃焼を理解する上で,乱流場と化学反応の相互作用を解明することは不可欠である.特に,高精度乱流燃焼モデルを開発するには乱流火炎の局所構造や火炎面のフラクタル特性に関する十分な理解が必要となる.本研究では,詳細化学反応機構と輸送係数・物性値の温度依存性を考慮に入れた水素・空気乱流予混合火炎の直接数値計算を行い,火炎面のフラクタル特性を明らかにした.二次元一様等方性乱流中を伝播する当量比0.8〜1.6の水素・空気乱流予混合火炎の直接数値計算結果にbox counting法を施すことにより,乱流予混合火炎中の化学種と温度の等値線に対してフラクタル解析を適用した。その結果,二次元一様等方性乱流中を伝播する水素乱流予混合火炎はフラクタル特性を示し,各化学種のフラクタル次元は当量比に依らずほぼ一致することを明らかにした.また,温度は火炎背後で比較的ゆっくりと上昇するため,化学種のフラクタル次元に比べて,温度のフラクタル次元は既燃側で僅かに低下することを明らかにした.さらに,非発熱の無限に薄い火炎面に相当する非反応性二次元乱流中のscalar等値線のフラクタル次元との比較から,二次元乱流中の火炎面のフラクタル次元は大きい発熱と有限火炎厚さの影響による顕著な低下を示さず,ほぼ二次元乱流中のscalar等値線のフラクタル次元と一致することを明らかにした.乱流燃焼モデルでは,火炎面のフラクタル次元を用いて乱流燃焼速度を予測するが,乱流と予混合火炎の相互作用により局所的な火炎構造が変化するため,層流燃焼速度と火炎面のフラクタル次元から容易に乱流燃焼速度を決定できないことを明らかにした.
【研究代表者】
【研究分担者】 |
店橋 護 | 東京工業大学 | 工学部 | 助手 | (Kakenデータベース) |
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【研究種目】基盤研究(C)
【研究期間】1996
【配分額】2,200千円 (直接経費: 2,200千円)