不連続体力学シミュレーションの新展開:粉体系の粗視化モデル
【研究キーワード】
離散要素法 / スケーリング則 / 粗視化 / 数値流体力学 / 粉体 / 不連続体 / データサイエンス / 粒子法 / 粉体工学 / スケーリング則モデル / 符号付距離関数
【研究成果の概要】
不連続体である粉体は、食品、薬品、半導体、自動車部品、原子燃料をはじめ産業において広く利用されている。粉体の数値シミュレーションは、その支配方程式が確立していないため、個々の固体粒子の挙動をラグランジュ的手法により模擬するDiscrete Element Method(以下、DEMと記す)が世界標準として使用されている。DEMシミュレーションでは、最新の計算機であってもスプーン数杯分の粉砂糖の粒子数(小規模体系)しか計算を実行することができない。従って、DEMを応用できる体系は限られている。このようなDEMの計算粒子数に関する問題を解決するために、研究代表者は、DEM粗視化モデルと呼ばれるDEMのスケーリング則モデルを開発し、様々な大規模体系における固体粒子のマクロ挙動をDEM粗視化モデルにより模擬できることを示している。他方、これまでのDEM粗視化モデルの適用対象は乾燥した球形粒子である。DEM粗視化モデルは粉体が係わるモノづくりにおいて、将来、物理シミュレーションベースのデジタルツインの中核技術としての使用が期待されるため、普遍性の高いモデル化が望まれている。このような背景から、本研究では、DEM粗視化モデルの応用を広げるための研究に取り組む。本年度は、主に従来モデルの課題となっているDEM粗視化モデルのエネルギー消散の精緻化に関する研究に取り組んだ。粉体排出体系において、数値実験による妥当性確認を行い、エネルギー消散項を精緻化したDEM粗視化モデルが実際の粉体の挙動を精度良く再現できることを示した。さらに、DEM粗視化モデルの適用範囲に関する調査研究も行い、今後、DEM粗視化モデルを適用すべき体系を明らかにすることができた。
【研究代表者】
【研究種目】挑戦的研究(萌芽)
【研究期間】2021-07-09 - 2024-03-31
【配分額】6,240千円 (直接経費: 4,800千円、間接経費: 1,440千円)