ソリトン理論の工学への応用
【研究分野】工学基礎
【研究キーワード】
ソリトン / 可積分系 / QR法 / セルオートマトン / 逆散乱法 / 戸田方程式 / ボルテラ系 / システム理論 / 数列の加速
【研究成果の概要】
本研究の目的は工学とくに応用数理の分野でソリトン理論の積極的な応用をはかり、新しい視点を加えることによって、工学の発展に寄与することである。主な研究対象について以下の成果を得た。
(1)数値解析の分野:離散ソリトン方程式と行列の固有値問題を解くLR法やQR方との関連について考察を加え、その数理的構造を明らかにした。とくに、離散ソリトン方程式ののもつ対称性がLR法との関連から抽出されたのは一つの成果である。また、加速法や外挿公式との関連も調べ、新しい方法を提案した。
(2)数理工学の分野:線形システム理論・数理計画法におけるKarmarkerの力学系・情報幾何学とソリトン理論の関連性を、とくに戸田方程式の解に依拠して考察し、タウ関数の重要性を指摘した。また、離散パンルヴェ方程式の解と戸田方程式の解が密接に関係していることも明らかにした。
(3)情報関連の分野:ソリトンセルオートマトンの構造を明らかにした。とくに、超離散という概念を導入し、連続系である非線形微分方程式と離散系であるセルオートマトンを直接関係づけることに成功した。また、離散電気回路におけるソリトン貯蔵とソリトン圧縮について新しい知見を得た。
(4)構造解析の分野:量子スピン系における可積分の概念を利用して、光励起子のストリング解が存在する可能性を示した。生体をはじめとするさまざまな対象に対する逆問題の適用。
この研究に関連して「ソリトン理論とその応用」と題する研究集会を平成7年11月9日から11日まで総合研究大学院大学で開催し、75名あまりの参加を得た。
【研究代表者】