ベトナム香江流域圏における歴史生態学的環境の持続的マネジメント計画論の構築
【研究キーワード】
世界遺産 / 環境マネジメント / 山水・風水 / 適正技術 / エコスタディツアー / 山水の構成 / ユネスコ世界遺産 / 阮朝陵墓 / 文化的景観 / マネジメント計画 / 水環境マネジメント / エコミュージアム / 皇帝陵墓 / アクションリサーチ
【研究成果の概要】
以下の5点が、主な成果である。
第1に、Gia Long Tomb と、これに隣接して密接な関係があるDinh Mon 村において歴史的な過程をオーラルヒストリー調査と集落の歴史文書により、取りまとめをおこなった。
第2に、皇帝陵墓とその周辺地域の成立過時点での環境構成の原則を、Gia Long 皇帝陵墓のその周辺を表現した天授局図夲、およびMing Manh 皇帝陵墓とその周辺の孝陵局図夲の図法とその表現の分析により検討した。その結果、阮朝成立以前からこの地域に入植していた集落との関係や構成要素の組み立て方、図的な表現方法などで、二つの皇帝陵墓がそれぞれの国家像を山水の構成で表現していることを明らかにした。
第3に、さらにそうした初期条件を出発点に、その後の19世紀以降の激動を超えて、水利灌漑システムや周辺土地利用、特に短期で換金可能なアカシアの植林が進むななど、文化的景観も大きく変化し、世界文化遺産としてのマネジメントに大きな課題を残していることが明らかになった。
第4に、こうした成果を活用し、エコスタディツアーを、現地での参加者と、我々研究チームを含む日本から専門家のリモート参加者によるハイブリッド形式で実施した。現地協力者と数度の実験を重ね、地上を移動しての観察とドローンの活用による全体把握、さらに、専門家がZOOMで様々な学術的内容も含めて参加者と意見交換をする仕組みを確立した。これを用いて、ハイブリッドツアーを計画検討のためのワークショップとして実施するための有効な実験を行うことができた。
第5に、上記のような研究成果をアーカイブし、各種の複合資産からなる地域の文化財の保全活用のためのマネジメント計画の基礎理論としてのHolonic Unit for environmental Manegement を試作して、活用に関して検討を行った。
【研究代表者】