少子高齢時代における地方の災害復興―復元=回復力概念の再検討とともに
【研究キーワード】
東日本大震災 / 津波災害 / コミュニティ / レジリエンス / 防災 / 復興 / 持続可能性 / ライフスタイル / 災害復興 / 津波 / 地域コミュニティ
【研究成果の概要】
2021年度は、①調査対象地域に関する質問紙調査の分析やインタビュー調査の実施を継続しつつ、②2020年度末に本研究プロジェクトの中間報告として執筆した博士論文に関する研究会等を複数回開くことで、事例分析を進めると同時に研究成果のブラッシュアップを図った。
結果、①については、東日本大震災を機に岩手県内陸市町村へ移住した元沿岸市町村住民への調査(有効回収数288名・回収率31.8%のうち約4割が釜石・大槌地域の元住民)およびその回答者への補足インタビュー調査(回答者30名)から、調査対象地域内での調査だけでは捉えられない、多様な復興過程の実態や復興の現状を把握できた。例えば、岩手県内陸市町村へ移住した人々の地域コミュニティの復興感が、もともと住んでいた市町村の中で住まいを再建した当事者に比べて著しく低い傾向が見られるなど新たな知見が得られた。また、調査対象地域内の調査では地域集団のリーダーたちへのインタビュー調査を再開した。そこでは、災害前から復興・予防期に至る長期的な災害サイクルの中で、ときに地域外の支援者に振り回されたり、復興事業が頓挫するなどの失敗を伴いながらも、自分たちの地域が成り立つ上で核となる要素や仕組みを再発見・内省し、災害サイクルにおける段階の変化へ柔軟に適応していこうとしている様相が観察された。調査対象の中には、コロナ禍によりコミュニティ活動が制限される中でも目的を見失わず柔軟に手段を変えながら活動を継続している地域集団もあり、そこでは上記と同様、状況の変化⇒地域や活動の核の再発見・内省⇒柔軟な適応、といった適応過程が見られた。②については、上記のような適応過程で発揮される地域集団の能力が、防災研究における「受援力」概念や教育学におけるコーディネーター育成に関する議論との類似性があるなどの知見を得、研究成果のブラッシュアップに活かしていく予定である。
【研究代表者】
【研究種目】若手研究
【研究期間】2019-04-01 - 2023-03-31
【配分額】4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)